『アマタツ』

 アマタツが気になる。アマタツとは小倉さんのワイドショーの天気予報士で、朝8時には通勤電車に乗っているサラリーマンには無縁の人だ。
 アマタツの気になるところはその顔だ。顔といっても目鼻口の3ポイントだけではない。髪型と歯並びと声まで含めて「顔」である。
 アマタツはなぜか憎めない。もともと人の良さそうな顔をしているけれど、髪型が元フジテレビアナの山中秀樹に似ていてハゲそうでハゲなさそうなしぶとい感じの天然パーマであることとスキッ歯なところがチャームポイントをアップさせてさらに憎めなくなる。とりわけ声は美声で爽やかだ。
 毎週木曜日には『朝のヒットスタジオ』というフジテレビの昔取った杵柄のような安易なタイトルの名物コーナーがある。20年ぐらい前から10年ぐらい前までに流行ったヒット曲を、歌っていたご当人が登場して高らかに歌い上げるという時空を超えた感動的なコーナーだ。今でも輝き続けている人から、見る影もなくしょぼくれてしまった“アンタだれ?”というような人まで様々な歌手が登場するのだが、そのコーナーのシメとして歌い終わった歌手が天気予報コーナーのアマタツにリレーするシーンがあり、大概は歌のサビに似たフレーズで「アマタツゥ〜」と叫んだところで画面にアマタツのアップが登場する。そしてアマタツは毎回「ありがとうございます。嬉しいです」と童貞っぽさを振りまきながら自分のコーナーの幕を開けるのだ。
 俺はこのシーンがたまらなく好きだ。なぜかとても愛おしい。なぜだかわからないが、たぶんアマタツのとぼけた顔から連想される人柄の良さではないかと推測する。天然パーマ、一重まぶた、スキッ歯、美声、総合的に典型的ないじめられっ子顔、どれもが愛おしい。
 しかも小倉さん、かなりアマタツが可愛いと見た。小倉さんは犬を溺愛しているそうだが、小倉さんがアマタツをイジるとき、俺にはアマタツが犬に見えて仕方ないのである。
 たぶん、ごはんとか、時々ご馳走していると思う。



『がんばれ洗濯機!』

 ニュースを見ていたら「DVDにも寿命がある」と。そんなことを報道されたからメーカーはたまったもんじゃない。でもまー永遠じゃないんだから仕方ないか。またなんとか誤摩化しながら新製品考えて商売すればいいさ。
 ウチの洗濯機もそろそろだな。俺に逆らいだした。いつだってずっと愛おしく洗濯槽を眺めて続けてきてやったのに、最近はうんともすんとも言ってくれないときがある。反抗期ではなくボケだな。かといってまだ息をしているのに墓場に持っていくのは忍びないし。12年選手だもんな。俺の汗と涙の滲み込んだオシャレなクロージングをせっせと清めてきれたんだもん、敬意を払って少々お高く付いても修理するか。と思ったけれど、この前グラフィックデザイナーやってるともだちん家のドラム型洗濯機見たらウットリしたわ。あれはすごい。パワーもスピードもリズム感もかなりハイレベル。腰回りもどっしりしていて頼りがいのある4番バッターという感じで、これなら俺の汗と涙の加齢臭をあずけてもいいと思っちゃった。
 そんな俺の裏心に気付いているからヘソを曲げてるのか、おしえておくれ洗濯機。
 なに、日に日に強くなる加齢臭を退治しきれなくなってきたってか。
 お互い歳とったってことだよな。ま、あまり期待しないからもう少しだけそこに居てくれよ、というか置いといてやるよ。しつこい脂よごれや泥なんかは、俺がじゃぶじゃぶやってやるから。なんか見捨てられないんだよ、10年以上も付き合ってるとさ。
 こうして俺んちも、やがて近所のみなさんに嫌われるゴミの山になるのかも。




コキントウ主席来日記念「手を振る毛沢東時計」
ビミョーに手をふってるのがわかるだろうか?




『平井堅/その後』

 平井堅よかったわ。グッときたというかキューンときた。なんなのかな、周波数かなぁ。独特の波動が迫りくるかんじ。ゆっくりというだけではなく、ちょっと急ぎ足の場合もありで、かといって胸ぐらグゥワシってつかまれるんでもなくて、親指と人差し指と中指の3本で、キューッと軽くつねられた気がする。
 OLとか膝の裏カックンとなるんだろうな。全曲主人公になれるんだろうな。才能あるよ、女性は。
 俺はちょっと励まされたなぁ。男同士で「行くぞ」「おー」みたいじゃなくて、「好きなことやってるんだからしっかりやらんともったいないですよねー」みたいな。もちろん勝手な想像だけど。友人の計らいでちょっとだけ会わせてもらったけど、かなり居酒屋一緒したいガイだね。説教臭いこと話しながらそのままコントに持って行けるようなドリフっぷりも垣間見た。普通さも兼ね備えて人を安心に導くロマンチックな才人だよ。

 あと伊達さんがすごい活躍したでしょ。とくかくあの世代の人が輝いているんだよ。そう思って少しだけ若い世代に羨望の眼差しを送っていたらヒロミゴーさんが「5」の付く日に猛烈なハイテンションで弾けていたので、上の世代からもハッパかけられた気がして少し落ち込んだというか反省した。
 人前に立ち続けている人の覚悟みたいな、そんなものを感じたGWだったな。俺は近くの砧公園で毎日1時間歩いてビール500ml缶2本空けて、プラマイゼロ、むしろマーイなとぼけた日々を過ごしてましたが、気持ちいい日々でしたわ。




高知出身スタッフのGW里帰りみやげ「姫かつお」。
かなり大人っぽいネーミングだ。




『続・竹下通り』

 昨日の日記を書いてからなんとなく竹下通りを歩いてみた。
 日記に書いたまんまの子たちで溢れかえっていた。それはそれはとんでもない人込みで、まるで通りそのものが天井の開いた満員電車のようなかんじだ。
 みんな頑張ってたなぁ。勝負なんだろうな、地元代表としての。地元に帰ったら友だちから「どうだった攻撃」に遭うんだろうな。
 いいよね、青春。背伸びの青春。竹下通りはある意味、若い子たちの甲子園だもんな。
 だけどガンつけるのは良くないな。それなりに頑張ってるんだから目元もスマートにいかないと。微笑ましく視線を送ったら、“なんだよ、ハァ?”って。オジさん相手にそりゃ良くないでしょ。なんなら謝りますが…。
 俺もそうだったなぁ、CREAM SODA。知らないでしょ。ロックンロールショップ。今のピンクドラゴンの前身。ボーリングシャツ着てラバーソール履いてヒョウ柄&ドクロの財布ケツポケにいれてチェーンで留めてヤナギヤべっちょりで、すれ違う誰もがライバルというより敵だった。
 田舎に帰るとかならずこう言いました。「原宿なんてたいしたことねーよ」。
 今ではすっかり素直になってこう言います。
 「いまだに東京に憧れています」
 これ、マジです。



『竹下通り』

 原宿を歩く女の子たち。男の子も。みんな。
 彼らにとってGWの原宿はステージだ。自分がどこにいるかを計るステージ。いつかこの街で、いつもこの街をカッコよく歩きたいという、ささやかだけど壮大な夢を見せてくれる憧れの街。
 何時間も電車に乗って、飛行機に乗ってやってきた子だっている。みんなみんな『原宿』という得体の知れない、けれどどうしよもなく魅力的な魔法のようなこの街に吸い寄せられてやってくる。
 竹下通りではすれちがう誰もがライバルだ。この街を歩くために何日も前からスタイリングを考えてきた。都会で流行のファッションを研究して、隣町の本屋さんまで足を運んで仕入れたバイブルをくしゃくしゃになるまで読み倒し、とっておきのオシャレでやってきた。地元の友だちの評判は上々だ。「これなら東京の子たちもびっくりするんじゃないの?」。そんな友だちのエールを鞄に詰めて、いざ勝負の竹下通りへ。
 竹下通りを歩いた。景色がスローモーションで流れた。スローなのはアタシだけ。周りの景色と人たちはみんな今の時代のスピードで流れている。アタシだけ、アタシだけがこの狭くて小ちゃな通りに取り残されている。バレないように無理してでもスピードを上げなくちゃ。田舎モンだとバレないようにしなきゃ。ダサい子だって思われないように、精いっぱい涼しい顔をしてみるけれど、50メートルも歩かないうちに疲れて気持ち悪くなっちゃった。
 今度こそは、竹下通りにナメられないようにリベンジしなくちゃ。悔しいけど、もうちょっとガンバる。今度はぜったい負けないから。
 
 頑張ってね、みんな。そして大切な想い出をつくってね。




2008/05/09

『アマタツ』

2008/05/08

『がんばれ洗濯機!』

2008/05/07

『平井堅/その後』

2008/05/05

『続・竹下通り』

2008/05/04

『竹下通り』
このサイトに掲載のイラスト
写真・文章の無断転載を禁じます

Copyright © 2001-2005 MaroonBrand