昨日は築地で某ナショナルクライアントの来期のプロモーション会議をした。俺に与えられる役割はいつも同じで、何でもいいから自由に話しまくってください、というものである。ロジカルな人たちはみな、あらゆる条件を計算式にのせて、だからこうなり、こうなるからああなるわけで、そうなればこれはきっとこんな効果を生み出すと思われるのです、となる。
確かに分り易く、なんとなく安心できる感じにはなるが、その手慣れた「感じ」にパワフルさが足りなくてなんだかもどかしい。何億円も使うんでしょ?ならばまずは自由論議だろ。知識ではなく知恵を使え。経験でも聞いた話でも理想でもなんでもいい。知恵を開放しながら伸び伸びと話されたし。善い悪いは後から論議しようじゃないか。
結局、俺ときたらジャイアンツやボーイスカウトの話ばかりをして、いったい何だったんだろという思いだったのであるが、そんなところから始まるから企画とはオモローなのである。さてさて、どうなりますやら、いつもちょっとだけ人事だと思っているので、行く末が楽しみでなりません。
そんな話を3時間ばかりやってから中目黒で飲んだ。昨日のメンツは小学校時代からの同級生といっこ上の先輩。先輩は出張で来ていて、同級生は単身赴任で浦和に住んでいいて、んじゃ飲もか、である。
その居酒屋はいつも大繁盛で、昨日も満席で大にぎわいを見せていた。リーズナブルな値段設定で客には若者が多く、サラリーマン5年生から10年生あたりの奴らと、売れないバンドマンみたいな自由な格好したやつらでごった返していた。明らかに俺たちは最年長に近い存在だったのに、小学生から知っているもんだからして、いくらスーツ着てネクタイしてても、俺にはニキビ面の中学生にしか見えないのである。そのクセ、アタマだけはしっかりハゲていて、気分としては朝刊紙の三面記事の左隅にある4コママンガなのだ。
ま、それがホッとするわけで、人から見たらただのおっさんにしか見えないだろうけど、俺から見ればガキが背広着たとっちゃん坊やというか、つまりガキデカなのである。
楽しかったなぁ。やっぱ出るよな、下らん話。誰が不良で誰と対立してて、体操部の部室はいつも煙がモクモクしてたとか、○○先生は○子のことが好きで、ラブレター書いたけどフラれて、それからは授業中に○子にめちゃめちゃ厳しくなっていやがらせばっかしたとか、あいつは校舎裏の八百屋で金ちゃんヌードルをネコババしたとか、そういうどうでもいい話を46歳になっても覚えてるから可笑しい。きっとみんな会社では一目置かれる存在で、本部長だの支店長だの立派な肩書きもらって、社員とすれ違う時にはぺこっと挨拶されて、しばらくしたら振り向かれて背中にあっかんべーされて、大変な毎日を過ごしているのに、飲み屋に入ったらネコババ事件のことばっか話すんだもんな。でも最高に楽しかったので、これからも本気で中学時代の話を繰り広げたいと思っています。
一夜明け、外回りをしてから、腹が減ったので中目黒駅前の『松屋』に入ると、奥の方から「圭ちゃ~ん!」とハツラツな声が飛んできた。昨日飲んだ先輩が手を振りながら嬉しそうに笑っている。どうみてもホモっぽい光景で、せめて俺はノン気っぽい態度で、「どうも」と答えた。先輩はすでにトマトハンバーグを8割以上食べていて、少しお腹も落ち着いた様子だった。
「で、圭ちゃん何食べるの?」
だからそれがホモっぽい。
そして先輩は俺がカレー牛を完食するまで待っててくれて、俺たちはそれぞれ別方向に歩いていったのでした。盆過ぎだったけど、ちょっとだけ帰省した感じで嬉しかったです。
本来あるべきDNAのままに成長したプードル。
「トイ」ではないからかなり巨大。このサイズこそスタンダード。
人間よ、犬を勝手に小さくしてはいかんぞ!
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