『六本木ヒルズ』

 六本木ヒルズで打ち合わせをする。この場所は俺が最も苦手とする場所である。俺の中で何かが噛み合わない。だからヒルズで仕事となる度に軽く落ちる。なんでだろう。これでも昔は高層ビルに憧れて、特に上京したての頃は日曜日に新宿中央公園に行ってずっと高層ビル群を見上げていた。確か3週間連続、その3週目に英会話の勧誘に引っかかって若い女に住友ビルまで連れて行かれて以来、日曜の高層ビルウォッチングはやめたが、高層ビルにピュアな憧れを抱いていたことは確かだった。
 新宿の高層ビルはまだいい。あれはビル群だから景色として美しい。けれど六本木ヒルズはいろいろと迷惑だ。地下鉄の出入り口がややこしくなったし、周辺がやけに暑くなった。きっとあのビルの中では猛烈なエネルギーが消費されているのだろう。道路もややこしくなった。人通りも多くなって危なくなった。変な奴らが増えた。なんちゃってヒルズ族みたいなのがうじゃうじゃして、街全体が気持ち悪くなった。
 そして六本木ヒルズ。デカすぎて怖い。なんかあの建物の中にはドロドロした悪いものがいっぱい詰まっている気がしてならない。遠くから眺めたら完全にメカゴジラである。メカはあくまでメカであって、ゴジラのように血が通っていない。茶目っ気がない。新宿の高層ビルはどこか呼吸をしているように思えるけれど、ヒルズは呼吸の代わりに機械仕立ての空調がゴーゴー唸りをあげているだけ。
 ヒルズの中にはどれだけのパソコンがあるのだろう?どれだけの携帯電話があるのだろう。きっと人の数よりも多いのだろう。それこそがヒルズ機能の中枢である。
 狭い国だから上に積むしかないのはわかるが、都会で働く人たちはもっと地べたを知るべきだ。暑いとかヒンヤリとか、そんな単純なことでもいい。地上200メートルで働いた後には、近所の公園に行って裸足になって土を踏め。それだけで何かがわかる。メカゴジラの中で働く人にはせめて血の通うゴジラであってほしい。




メカゴジラ




『すごいなスイーツ』

 スイーツサイトのコンテンツを作っているのだが、それはそれはスイーツというものは限りない世界である。俺のようにおにぎりせんべいオンリーで育ってきた者にとっては、ショートケーキひと切れでオーバー1000円と聞いてもれなく腰を抜かしてしまうのだが、仕事の特権とやらでそれを賞味させてもらうと、今までの経験には記憶されていない新たなファンタジーが広がるのである。
 カットケーキを1000円としよう。君たちのような庶民はきっとこんなことを思うだろう。その1:「ランチ余裕で食えるじゃん」。その2:「うな丼食えるじゃん」。その3:「一日暮らせるじゃん」。
 1000円とはそれぐらいありがたい金額なんですな。
 そして俺たちはパティシエの話を聞くわけだが、パティシエという人々のスイーツに対する思いは尋常ではないのです。俺たちが「せ、千円?ひと切れで?」と仰天していると、それにかかるコストがとても1000円じゃ済まないのだよと教えてくれる。その素材やら工程やらデコレーションやら包装やら、言うなればスイーツとは味を持った芸術作品であるということを声高に伝達してくれるのである。
 それを聞いた途端に、うな丼やランチは吹っ飛ぶ。そんなに大変なんですねという申し訳ないような気持ちになって、“こらうなぎ、まさかテメー中国産じゃねーだろーな”と八つ当たりしたくなってしまうのである。
 46歳まであと2週間だが、この歳になっても知らないことはまだまだ増える一方。いや、知らない方がまだましで、知ってしまうと本当に人ってみんな大変なんだなと思いつつ、俺なにやってるんだと落ち込むサマーデイズ。
「私がこのひと切れのケーキに妥協したら、自分自身を妥協することになるんです」
 そして表参道のカリスマは、平均睡眠時間4時間の生活の中で、今日も誰かに甘い幸せを届ける。
 そんな大変さを知りながら、うな丼とセットで2000円か、たけっ、と、どうしても思ってしまう俺がいる。




オレのスイーツ。たまご掛けごはんの職人。




『アイデアランチ』

 なんでもアイデアである。僕たちのような仕事は特別な知識がなくとも、知恵さえ上手く回せば人に喜ばれる仕事ができる。とはいえ、その知恵を身につけることほど大変なことはないのだが。
 知恵には落とし穴がある。悪知恵、ズル、嘘、その多諸々。このような知恵は人の犠牲を強いることになる。それを分っていながら、それでもいいやと言う人はごまんといる。自分さえ良ければ誰がどんなことになろうともかまわない。そして富と地位を獲得し笑顔で頭を下げながら人を撃つ。そんな人はたとえ大金を手にしたとしても、札束には犠牲になった誰かの怨念が滲み込んでいるものだ。見てごらんなさい、万札を広げたとき、諭吉があなたの目を凝視しているはずです。心当たりのある人は即刻諭吉をどこかの平和団体へ寄付するか、近所の寺にお布施なさい。
 そして抜群の善玉アイデアは中目黒の小市民から生まれた。ときどき日記に書いてる『マハカラ』という居酒屋がまたもクリーンヒットを放ってくれたのだ。3年振りに復活したランチに新たなるメニューを追加。それまでの塩親子丼とぼっかけ丼(牛筋&玉子丼)に肩を並べるニューカマーが誕生したのである。
 名付けて「カルボナーラ丼」。想像しなさい。カルボナーラがどうやって丼ぶりへと変化するかを。もちろん一瞬の戸惑いはあった。想像力だけでは導き出せないヴィジュアルだった。けれどカルボナーラ丼、実に美味かった。ネガティヴな予感があった分、3割増で美味かった。
 カルボナーラ丼。そのフレーズだけでも十分にインパクトがあるのに、パクついたら本当にカルボナーラ星までやってきた気分になってしまった。
 おそるべしマハカラ。そして丼ぶりが魔法の器であることを知らされた、アイデア溢れるランチだった。




必食!カルボナーラ丼。




『大和魂』

 モナとか鶏肉偽装とか、本日もワイドショー的な一日になってしまいましたが、そういう偏差値の低い日には低俗なネタを書く気がしない。愛するジャイアンツのニオカのこともあるし。
 さて気分あらため、俺たちが今やろうとしているちょっとした大和魂。まだしばらく発表できませんが、仕事なのか仕事じゃないのか、でも確実に遊びじゃない。じゃ一体なんなんだということになりますが、今、必死で取り組んでいることがあります。くどいようですがこれ以上は一切書かないから、興味のある人はなんでもいいので想像してください。
 写真を見ると、より創造力が膨らみますが、混乱することの方が多いかも知れません。
 とにかく大和魂です。この夏は。




「大和魂」




『こらっサミット!』

 サミットも最終日となり、金だけ使って別にどうってことなく終わりそうだ。ブッシュ夫人のローラさんは福田総理夫人の企画したミニ遠足に参加したものの、ファーストレディ専用車として用意された観光バスには乗らずに単独でクルマ移動したらしい。わがまま放題のローラ夫人と知りつつも、昼食の席ではローラ夫人がフォークとナイフをとらないことには“いいただきます”の音頭がとれなかったそうだ。(ネタはすべて『とくダネ!』。サンキューMr.オグラ!)
 やっぱ婦人会の方もアメリカが独裁政権を振るっているのでしょうかね。

 そんなことはどうでもいい。本題のサミットであるが、アメリカや中国やインドや、いや日本も含めて本気で温暖化のことを考えているようには到底思えない。それぞれの国が都合の良い言い分だけで話し合って、とりあえず希望論的な数値目標を立てているだけである。そんなことを話し合うために各国が巨額な税金を使い、豪華なメシを食い豪華なホテルで宿泊して、なんの手土産も持たずに帰国する。先進国つまり権力があり金を動かせる国々がパフォーマンス半分でサミッたところで、地球が変わる気配などちっともないのだ。
 あの国がやってるのにどうしてウチだけやめなきゃなんないの?言ってることは幼稚園児以下のレベルである。そういう奴は3日間断食すればいい。断食した後には、濁った水を与え、寝るのは汚染された空気の中で汚れた毛布一枚だけ。いつでもどこでも清潔で健やかな環境に恵まれていては、地球の警笛に耳を傾けられるわけがない。であればこそ、次回からはサミットをシミュレーションキャンプと位置づけ、会議場で話したあとには、劣悪な環境に身を置いて3泊4日の実生活をさせるのだ。そうすることでしか、本当の意味で『環境』を考えることはできないだろう。

 あまりにも余談であるが、ブッシュ大統領はジェリー藤尾に似ている。
 これが今回のサミットにおける、俺の最大の発見であり収穫だ。




ねぇ、てんとうむし。この星はどうなるんだろう?





2008/07/15

『六本木ヒルズ』

2008/07/14

『すごいなスイーツ』

2008/07/11

『アイデアランチ』

2008/07/10

『大和魂』

2008/07/09

『こらっサミット!』
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