『コウン2010』

 何度も書いていることではあるが、なぜかオレは飲んだ時にコウンの話で盛り上がる。飲食店に居ながらにして排泄系の話は基本的にはタブーであるが、人はタブーほど破りたいものである。校則、規則、法律すべて枠の外側に飛び出そうというのが人間の本能に宿っている。言っておくが法を犯せとけしかけているのではないからあしからず。
 先日、田舎で飲んでいるときのこと。高校時代の同級生のデンちゃんがいきなり検便の話を切りだすと、それまで停滞気味だった場が急に円滑になり、だれもが一気にバック・トゥー・ザ・ハイスクールした。
 若い頃のコウン話と違い、昨今のコウン話は単なる下の話にとどまらず、健康面においてかなり重要なデータとなるから興味深い。しかもかなりリアルなタッチで今朝のコウンを描写し合い、生活習慣病の入り口にいるような奴はメモを取る勢いでコウン描写に耳を傾けている。コウンに限らず排泄は健康のバロメーターであると太鼓判を押す某テレビ制作会社の人々と、コウンネタの番組を作ろうかと本気で盛り上がっているオレにしてみれば、a lot of コウン話はいわばリサーチでもあり、目の前の刺身盛り合わせとメンチカツをつまみながら実に有意義な飲み会となったわけである。
 それにしても同級生は超リアルなコウンの話をしながら痛快に飲食をとる。なによりもそこに感動する。



『町と建物』

 晩夏というか、まだまだ懲りない暑さの岐阜市川原町。戦災をまぬがれ、昭和を色濃く残す風情ある街並である。電線を地下に埋めてしまったのだろうか、瓦屋根のまわりには余計なものがなにもなく、青空がくっきりと浮かび上がって気持ちいい。
 残暑とはいえ、陰はしっかりと秋色を映し出すから不思議である。郡上八幡といい飛騨高山といい、故郷には素敵な町が多い。とはいえ初めから素敵な町だったわけではなく、その昔にはあたりまえのように瓦屋根の長屋連なりの町がいっぱいあった。それが都会は景気に便乗して景観を無視して町中をコンクリートで固めてしまったために、結果として岐阜の町が素敵な町となったわけである。
 無計画な建設が町をダメにした。東京は馬鹿デカいビルが並んで圧巻だが、どれもこれも無計画に建てられたものばかりでちゃんとした景色というか風情をこさえていない。だからデザイン的にまったくダメである。都市デザインというものがなんたるものかをよくは知らないが、なんか後づけ的なビジュアルな気がしてならない。いくらソフトが機能したとしても町が美しくなければ価値は半減する。
 この国の外国人観光客が伸び悩むのは、未来都市づくりをデザイン面で失敗したからではないだろうかと思う。名所旧跡だけではなく、近代的な建築物と都市デザインを観光名所にするなんざ、この国にはほど遠いことかもしれない。とはいえ建設ラッシュは未だ止まず、最近はデザインなのかパロディなのかわからないビジュアルに鼻から笑いが漏れる。
 ビルは街の一部、だと思うけどね。だからって200メートルのビルに瓦屋根つければいいってことじゃないけど。




岐阜・川原町通り。



鮎のお菓子屋さんもある。




『老眼デビュー』

 ついに秋の訪れである。季節の事ではありません、人生の、であります。冒頭の「ついに」という言葉がせつなすぎますが、わたくし48歳と2ヶ月にして老眼デビューでございます。
 新聞は遥か彼方から眺め、ケータイに限ってはヒロミゴーのバラードナンバーのエンディングのように、マイクを遠ざけるようにしながらのポジションでようやくメール確認というありさまです。この48年間、肉眼メガネなしでいろんなモノを見てきました。素直な気持ちで視点にこだわり、ときには人の心の中まで視透かしたりもしましたが、これからは老眼鏡のお世話になることに決心しました。
 お陰さまでダテ眼鏡だけはゴマンとございますので、どれを老眼鏡にしようかな~と、哀しい話題の中にも軽い希望を抱いて、老眼ライフの始まりに心を寄せているところです。
 とはいえ、とりあえずの老眼鏡は名店「ドンキ」で購入した788円モノ。これがなかなかすごい! というか、老眼鏡って素晴らしい。
 ダテ眼鏡に3万、老眼鏡に788円。いかがなものかといささか不安になるが、今後は3万のダテに老眼レンズを入れれば良いのである。さらにグラサン系にもサラリと老眼鏡! これをオシャレととるか悪あがきととるかは自由ですが、20を超えるコレクションから厳選するのもなかなかに困難である。
 まぁいい、とにかく老眼鏡だ。秋だ。読書はしないが、オシャレの幅は広がった。何でもデビューは嬉しいものだ。




ドンキの老眼鏡




『岐阜の夜』

 昨日は岐阜で飲んだ。死にかけている柳ケ瀬に喝を入れてやりに行った。もうヨタヨタな街なのに、なぜそんなに優しい。もういいからと言っても力の限り優しく包んでくれるんだ。
 なんだよ故郷、街を捨てて24年も経つのに優しくすんじゃねー。マスター、あんただって何十年前の客の相手をするよりも、今の常連さんを大切にしてやった方がゼニになるだろ?
 それなのに…貸し切りで…閉店時間なんてとっくに過ぎてんのに…。
 「ケースケさんが好きやったカレー、作っといたよ」
 泣かすな、バカ。岐阜だからバカじゃなくてターケ、か。
 1年に1回、いや2年に1回か。それもここしばらくの話で24年で5、6回しか顔出してないのに。
 店ってそういう場所なんかも。それでいいのかも。行ってないけど、いつか行く店。必ず行く店。そこにいる人、顔。そしていつも別れ際はこうだ。「東京で頑張らないかんよ」。
 そうやね。東京で頑張らないかんね。そういうことやね。



『大先輩と5時間』

 65歳の大先輩と軽く一杯ひっかけていたら、若い奴らと話すよりも下らないことで盛り上がり5時間も喋ってしまった。
 思春期のガキが抱く偉大な妄想と煩悩を65歳になっても失わない先輩はさすがである。こういう人のことを少年というのだろう。
 その先輩がこんな言葉をくれた。「クリ、お前もいい笑顔するようになったな。相当なことをやってこないとそういう顔はできん」。
 ちょっとは褒めてくれたのだろうか、嬉しくなって「少しは大人になれましたかね?」と尋ねたら、「早いわ。やっと大人になる入り口まできたところや」とピシッと返された。
 人物が人物だけに写真は掲載できないが、大先輩、それはそれはびっくりするぐらいの笑顔である。ただ、なんで笑ってるのに怖いんだろ。
 顔。大事だな。ただし「顔は磨けん。人間を磨け」。大先輩のお言葉。悔しいぐらいにロックだ。




2010/09/24

『コウン2010』

2010/09/22

『町と建物』

2010/09/21

『老眼デビュー』

2010/09/17

『岐阜の夜』

2010/09/16

『大先輩と5時間』
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