『カロリーメイトとの格闘』

 夏になると体が丸くなる傾向があるので、といってもすでに肉眼で確認できるほどの成果があるのだが、これではいかんと思いプールへ駆け込んだ。気合いを入れて1時間ほど泳ぎ、サウナにもビッシリと入って気分的には5キロほどダイエットした。すると当たり前のように腹が減ったのだが、時間を見ると23時10分。この時間帯で夜食など摂ったら泳いだ意味がない。空腹に顔を歪めながら渋々ジムに隣接するドンキでカロリーメイトチョコレート味を2コ買い込んで飢えた胃袋に押し込んだ。
 おそらくろくに咀嚼もせずに飲みこんだためだろう、カロリーメイトが桑田さんで有名になった食道あたりでやや原型を残した感じで引っかかっている気がしたので、大きく息を吸ってからグッと呑み込んだ。すると、どういうわけか呼吸困難というか息が吸えなくなり、ゴリラみたいに胸をウホウホと叩いてみたが、まだかなーり苦しい。苦しさ丸出しの形相でもういちどドンキに戻ってミネラルウォーターを購入してあわてて飲んでも、原型を残したままのカロリーメイトは食道を通ろうとしない。呼吸困難はなんとか回避されたが、まだカロリーメイトはスパイダーマンのように食道壁に張りついている。
 「カロリーメイト」。アメカジっぽい名前をつけたところで所詮は小麦粉の菓子だ。そのうち溶けて胃に流れ落ちるさと余裕をかましていたが、いやいや、小麦粉の塊は意外にも頑固で俺の食道と精神を苦しめた。
 そうか! 液体ではなく半液体なら土砂崩れのようにカロリーメイトを巻き込んで濁流となり、すんなり胃袋に流れるに違いない! オレは自分の閃きに希望を感じ、もう一度ドンキに戻ってウィダーインゼリーを2コ購入し、早速路上でウィダーインゼリー イントゥ ストマックを決行した。…が、ウィダーインゼリーは予想以上にヤワでカロリーメイトを避けるように胃袋へと逃げて行った。しかも2パック。
 食道あたりに引っかかるカロリーメイトのストレスばかりか、一気に呑み込んだ“1L for 10L”と2ウィダーのせいで具合が悪くなり、タフなオレもさすがにガードレールに座り込んでしまった。
 中目のドンキのレジはオープンエアーである。オレの3度の買い物を担当したレジの男が、レジ打ちの合間を見て、路上でヘタれ込むオレに「大丈夫ですか」と声をかけてくれたが、そんなもん大丈夫じゃないに決まってるけれど、「大丈夫ですよ!」と明るく返すしかなかった。しかも、そう返したらそこを立ち去るしかないだろうと心の中でツイッターしながら、レジ男の視界に入っているうちは平気そうな顔で夜道を帰って行かざるをえなかったのである。

 なにやってんだオレ。健康補助食品が全く裏目に出た蒸し暑い夜だった。




カロリーメイト(チョコレート味)
ヘアメイクのノボルのバカなステッカー付き。




『犬と手ぬぐい』

 おじいちゃんと犬、おばあちゃんと猫というのが決まりだが、おばあちゃんと犬というのも独特の和みを出す。おばあちゃんは現実的だから、夏でも涼しくなってからじゃないと犬を散歩させない。第一、自分がもたない。おじいちゃんはまだロック魂を捨てきれないから、時に炎天下でも犬を散歩させて、犬にもロック魂を注入させる。迷惑だワンという話である。
 おばあちゃん、そこそこ涼しいのに犬に手ぬぐい巻きつける。現実的だからファッションじゃなくて、本気で手ぬぐい。けど犬は首筋に汗かかない。汗腺がないから口を開けてハーハーやってるのはそのせいだ。汗の出し入れを口でやって温度調整をしているようなものである。ただ犬にとっては首輪+手ぬぐいで、首元がもたついて窮屈そうだった。
 夏でも犬にギャルみたいなファッションをさせているバカ飼い主がいるが、どれだけ犬が迷惑か考えてみた方がよいと思う。その点、手ぬぐいは気にならない。むしろ巻いてるだけで忠犬に思える。
 これが「和」の魅力。日本人の無骨な気質が手ぬぐい一枚に表れる。もちろん俺は20年来の手ぬぐい派だ。








『ふるさとの姿』
 名古屋で仕事があったので、ついでに実家に帰った。盆前ではあるが墓参りも出来たし、久しぶりに実家でメシも食った。
 今回は名古屋からバスで実家に帰り、帰りは実家から岐阜を経由して名古屋に出た。昔は人で賑わった旧・新関駅内にあるバスの待合所は閑散としていて、つぶれかけた自販機コーナーみたいになっていた。話し声も人の気配もない待合室には、自販機のモーターの音だけが静かに鳴るだけで、その音が余計に寂しさを募らせた。誰も動かない待合室は一枚の古ぼけた写真のようでもあった。
 駅裏にあった映画館は何十年も前に廃館になり跡形もなくなっている。岐阜まで延びる単線電車も廃線になり、電車道にはレールが剥がされた後だけが残っている。町の健康状態を占うような景色に、どんよりとした思いがのど元を通った。
 それでも人々はその町で暮らしている。景気が良かった頃の話を口癖にしながら厳しい現実を生きている。けれど希望は決して捨てない。希望のサイズは多少変わるだろうが、今より良くなることを信じ、良くなるための努力をそれなりに勤めている。
 6月には天皇皇后両陛下をお迎えした町。町が総出で式典の準備をし、式典が行われた長良川には何千人もの人で賑わったという。それもすでに思い出。
 素敵な思い出づくりも素晴らしいが、振り返れば思い出となるような、なんてことない、けれど活気に満ちた町になってくれることを願う。
 その昔、目抜き通りの本町通りでは市内の中学生がこぞってなにかを探しながらチャリンコを転がしていた。子供は人がいっぱいいる場所が好きだ。だから毎日、あてもなく本町通りを走った。本町通りを走れば誰かに会える。だから走る。誰にも会えなかったらもう一往復走る。それでも誰にも会えなかったら、また明日走る。それが夏休みの醍醐味だった。
 蘇れ本町通り。原爆アイス、満月焼、うなぎを焼く炭火の煙、喫茶店、モーニング、夏祭り、野菜でこさえた人形作品、なによりも子供たちのはしゃぐ声。
 時代はいくら変わっても故郷は変わらない。



バスの待合所。



レールのない線路。



川と水は変わらない。





『道路の安全について』

 運転免許を持っていない人の歩行や自転車通行のマナーが悪すぎる。事故ることを想定していないから道路で我がもの顔なのだ。ドライバーは自動車教習所では、運転することと同時に事故らないことを学ぶから、事故に対する意識が極めて高い。というより運転するということはそもそも事故の素であるということを自覚させられている。
 免許を持っている人と持っていない人の決定的な違いは、道路標識を読み取る力である。ドライバーが標識を無視すれば罰せられるが、歩行者にはなんのお咎めもない。仮に歩行者が空から赤信号の横断歩道に着地した瞬間にドカンとなっても、ドライバーには前方不注意という罰が付ついてまわる。なんでやねん?である。
 全国の白バイたちは、車やバイクだけを取り締まるのではなく、赤信号や信号のないところで平気にチャリで道路を横断するおばちゃんとか、道の真ん中で立ち話するおばちゃんとか、道の真ん中をトロトロとチャリ転がしてるおばちゃんとか、クラクション鳴らしたら親のカタキみたいな顔して睨むおばちゃんとかもしっかり取り締まってほしい。道の死角に隠れて「見~つけた」なんて性格悪すぎるだろ。これでは庶民の警察嫌いに拍車をかけるようなものである。
 交通ルールというのは、歩行者や自転車乗ってる人にも守ってもらわないといけないということを、もっと徹底させてほしいのだ。わかりやすく言えば、道路をむちゃくちゃに歩いたり横断したりチャリ転がしてるバカたちに、「あんたたち、こんな基本中の基本も守れないの(バカッ!)」と確実に人前に晒した状態で叱ってやってほしいのです(バカッ!はオプションで結構です)。



『夏、バカ!』

 クーラーを避けて扇風機で暑さをしのいで寝ていたら布団がぐしょぐしょになっていた。裏側にはほんのりカビの予感。早速ベランダに干して布団に日光浴させたら、夜中まで熱が逃げなくてまた汗だく。仕方なくクーラーを入れて寝たら朝アタマが痛かった。手強すぎるわ、今年の夏。やっぱ扇風機では力不足か。今日は冷えピタ貼って寝よ。
 なんで寝ることにこんなに苦労しなきゃならんのや、このバカ夏! 夏だけは運動神経も視力も要らんから、好き勝手に10℃以内なら調整できる体内エアコンがほしい。これ発明したらノーベル賞だろうけど、電機メーカーから抹殺されるな。




2010/08/11

『カロリーメイトとの格闘』

2010/08/10

『犬と手ぬぐい』

2010/08/09

『ふるさとの姿』

2010/08/06

『道路の安全について』

2010/08/05

『夏、バカ!』
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