『キムタクを偲ぶ』

 キムタク。ジャイアンツ守備走塁コーチ。享年37歳。数字的にみれば大選手ではないが、偉大な野球人であった。
 原監督がなぜあれほどまでに号泣したか。なぜ彼の訃報がこれほどまでに大々的に報道されるのか。誰からも愛され、尊敬され、一目置かれる存在だった。
 彼にしかできない野球を見事なまでにやってのけた凄い選手だった。スーパースターではなかったけれどスーパーマンだった。
 いい選手だった。いいコーチになるに決まっていた。キムタクが育てた選手を見たかった。
 彼の意思は野球界に大切なものを与えた。それはとてもシンプルだけれど偉大な功績であり、同時に問題提起でもある。
 野球人の「人」という字は人間のことである。彼は素晴らしい人だった。
 全力で生きた美しい人間だった。



『風おもう』

 人生は風通しだ。どこにいても空気が停滞すると息苦しくなる。望んだ場所にたどりついたとしても、そこに風が流れていなければ確実に滅入る。その場所を目指して努力してきたのに、風の流れを感じなければ、してきた努力さえ疑問に思うことがある。
 風は人任せでは起こらない。自分で風穴を空けてやらなければならんのだ。そこに吹き込むのは穏やかな南風だけではない。肌を刺すような冷たい北風もあるが、そこには計り知れない可能性を予感させる緊張感も生まれる。暖かろうが冷たかろうが、風は人の気持ちを未来へと流し込む。現実とその先にあるなにかを繋ぐために、僕らは風を掴むのだ。そもそも希望やイマジネーションは、風が運んでくるのかもしれない。
 対人関係、社会環境、自由時間、すべてにおいて風通しを考えてみる。自分が風穴を空け、扇がなければ風は起きない。大きな風など望まないが、決して止むことのない空気の流れの中にいつも身を置いていたい。
 風になりたいという歌があったが、なんとなくそんな気分だ。



『花見だより』

 なんだかんだ言いながら今年はびちーっと花見した。先週の木曜日は恒例の中目の花見だった。『HOSU』と『A℃TS』が中心となって今年も通行人に酒とつまみをふるまってくれた。5時からの見始めて12時まで、お巡りさんから“そろそろ…”と、チクッとされるのも恒例になってきたが、一体あの時間中にどれぐらいの人が店の前を通過するんだろう。3000人ぐらいかな、もっとかな? 通りすがり見ず知らずの人に「酒どうぞ」って、なかなかできるもんじゃない。彼らは立派な町の洋服屋さん、『商店』の意味を理解している商人だ。彼らを見ていると、やっぱこの町いいわ、と思ってしまうのである。
 隣のマハカラではプリンが秒殺で完売。よしよし。ひとつひとつの店が面白くなって来た。このままいけば、今よりもっと面白い町になる。よく「町おこし」というけど、町全体を一気によくしようとしてもそうは行かない。町の一部である店や人がそれぞれに努力して、結果的に町の一部分として機能すれば、おのずと町おこしに繋がるのではないか。単発的なイベントも必要だが、町の息づかいというか、そういうことがいちばん大切ではないかと考えるのである。
 昨日は砧公園で今年の花見納めをした。福島に越していったレストラン『ORGAN』の常連客が寄りあって昼間っからグビグビやった。常連客で料理の達者な方がいらっしゃって、重箱を5つ、他にも小皿20。絵に描いたような花見料理をご馳走になり、千鳥足を通り越して完全に旅立ってしまった。
 今日は雨。桜の花びらも粘り腰がなくなってきた。さぁ、最後に見事な桜吹雪を見せてくれ。


中目夜桜。




どえらい人。




外でイカ焼きを焼くゆうじ。




酔うマイキー。






『人形町でよい時間』

昨日は人形町で長々と打ち合わせをした。長々の内訳は、ランチ40%、街ブラ40%、仕事10%、ドリーム10%である。
 有名な『玉秀』の親子丼を食べ、創業55年の喫茶店で珈琲を飲み、路地裏のみなぎる活気に触れ、そして仕事。
 良い物を食い、良い眺めを見たあとには仕事が弾む。といっても僕の仕事はほぼ勝手なことを発言するだけなのだが、運がよければ人の心の真ん真ん中にズドーンと突き刺さる。
 いつもながら「で、今日はなんの仕事でしたっけ?」と本気でとぼけてしまうけれど、用意していた言葉よりその場で産み落とされる言葉の方が力があることにあらためて気づいた。準備周到にはほど遠いけれど、それでも会話のひとつひとつが結びついてアイデアが生産される姿は美しい。生まれたばかりのアイデアは夢となり、夢の実現に向かう気持ちがチームワークをつくる。
 汚れのないアイデアをピュアなままに保つために、僕らは汗をかき泥をかぶる。必死で戦い守り抜いてこそアイデアの純度は保たれる。手つかずのヴァージニティ。発想から数ヶ月、時に数年。アイデアの処女性は死なず、さらなる輝きを放ちながら、封印されていたアイデアはメディアの力を借りて人々の元に降りてゆく。
 仕事は楽しい。そう思えるきっかけづくりは、自分以外のなにものでもない。




ネーミングにグッときた。




『一年生のみなさんへ』

 新年度です。4月1日、なんとも気持ちよい響き。学年変わりました!みたいな、今日から高校生!みたいな、社会人一日目!みたいな、どれをとってもぴっかぴかです。
 まっさらな制服、スーツ、ユニフォーム。まだノリが効いててパリパリ。通り過ぎる人たちはみな、そんな一年生を横目に「俺にもあんなときあったよな」って、懐かしい気持ちをにじませながら少しだけ“ちゃんとしよう”と思うものです。
 ただすぐさまノリは落ちスーツはヨレヨレ、ユニフォームが泥だらけになります。そこからが本当のスタートライン。制服がヨレてきたからといって気持ちまでふにゃふにゃになってはいけません。なんで? どうして? うそだろ? 納得いかないことばかりで頭がぐちゃぐちゃになるでしょうが、どうせなら一年坊主の時にできるだけ沢山の疑問と戸惑いを背負い込むべきです。後輩ができてからでは格好わるくて聞くことさえもままならないものです。
 社会人一年生のみなさまのために、格言を。『聞き上手になるべし!』 そうすればダメな上司の先輩心に火がついて、確実に上司が伸びる。「あいつ、こんな簡単なこと聞いてきやがって。ほんと俺が教えてやらねーと何にもできねーんだから…」とご満悦を誘いさえすればこっちのものです。社会人はみな、芸者。どれだけ人を上手に踊らせるか。ただし口先だけの言葉では人の心は動かないのでご用心。
 職場で悩んだら素敵なママがいるBarを探して、酒と一緒にいろんなものを胃袋の中に詰め込んでください。人は胃袋の中からだって成長することを知っておきましょう。
 夜を征する者は社会を征す。まずはBarから。そこで学んだことを昼間の社会へ。昼間の劣等生よりも夜の優等生の方が将来的には確実に伸びる。
 まずは汗かいて冷や汗かいて、泥んこになってずぶ濡れになって、俺ってこんなもん? なんて嘆きのひとつもでるまで頑張ってください。




2010/04/08

『キムタクを偲ぶ』

2010/04/06

『風おもう』

2010/04/05

『花見だより』

2010/04/02

『人形町でよい時間』

2010/04/01

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