『花粉症に本気でサヨナラ』

 実はもうすでに準備しているのである。花粉症対策。5月から。杉花粉を直接体内にブスッ、もう9回もやった。慎重な先生は、「必ず効くとは限りません。ただこれがもっとも有効的な治療法です」
 先生は謙遜するから信用できる。いつも業界のC調なやつらばかりとつきあっているので、5割増の話が多すぎてガッカリうんざりげんめっつーなことが多いが、3割減の話は信用できる。さらに先生は「来年すぐ効果がでるという保証はありません。治療は根気強く、我慢強く」と力みなぎる言葉もいただいた。
 だが俺は100%来年の春がパラダイスになると信じている。この分でいくと杉花粉センサーが起動する1月下旬までに注射を7回。10000分の1の濃さから始まった注射も今では10分の1にまできた。もう俺の血管内は花粉ライダーが爆走して、来春になったらムクムク起き上がる予定のアレルギーに鍵をかけはじめているに違いない。
 ああ夢のような春。麗らかな春。涙は感動したときだけ流せばいい。クシャミもない、グズグズじゅるじゅるもない、ブルブルッもない。集中力も切れない。
 そんな春が本当に来るかも知れないのだ。思えば15年、ずっとずっと春は大嫌いだった。本当は大好きな季節のはずが、怖くて震える日々となっていた。
 まだ秋も始まったばかりなのに春の話をすると鬼が笑うが、笑わずにはいられない新しい春の予感。
 さよなら花粉症。そう言える春は、かならず来年やってくる。
 そして僕は春になったら森で深呼吸する。ゴルフ場という名の森で。
 ホワーっ! OBボールが山びことなって春の森を駆け巡る。



『真夜中のハイウェイ』

 夜中に高速を走った。理由はなく、ただ飛ばしたかったのでブィーンと。第三京浜はいつも空いていて、特に夜中はほぼ貸し切り状態だ。少しずつ都会から離れて行く感じが気持ちいい。首都高の無機質なそれとは違って窓を空けると季節の匂いがするので嬉しい。
 そこそこのスピードで走っていると、後ろからものすごい勢いでパッシングしてくるマセラティがいたので道を譲ったら、爆音をたてて俺を越して行った。おそらく180キロぐらいでてるんじゃないだろうか。俺なんて150キロも出せば確実にチビる。助手席に座れば体感速度が3割増で150キロの場合で195キロ、歯も骨もカチカチと鳴り出すありさまだ。
 とにかく昔からスピードと高い所にはめっぽう弱かった。特に高校3年頃からガソリンスタンドに勤めていた友人がスカGターボを買って、調子に乗ってあぜ道を150キロでぶっ飛ばして電車の踏切手前のちょっとだけ山みたいに盛り上がっているところをジャンプ台にして30メートルぐらい飛んだころから、もう完全に俺の中でスピードは敵になった。ちなみに別の日に同じあぜ道を150キロで走ったら、助手席にすわっていたイナボンは止まった瞬間にゲロっていた。
 そいつは自称「運転の天才」と言っていたが、不注意による事故が多く、その都度誰かが痛い目に遭った。そのうちの2回は俺で、額がバックリと割れてトマトジュースのように血が流れた。しかもその翌日は友人の葬式で礼服のまま事故ったので式はドロベッタンコのトマジューとろとろだった。
 不思議なことに自称「運転の天才」の友人は、度重なる事故に於いても大したケガなどしたことがなく、危機一髪のところで運に助けられた奇跡の人である。ハンドルを握ることは、海で言うところのライフジャケットみたいなものなんだとあらためて思ったものだ。
 ただそいつが21歳の頃、ガソリンスタンドで早番を任され、原付バイクで出勤したところ、スタンド敷地内に張られたチェーンに気づかずにバイクもろとも吹っ飛んで包帯ぐるぐる巻きになったことがある。かなり痛々しい姿だったが、事故ったバイクは俺のものでそっちもかなり痛かった。確か月々7千円で12回払い。買ってまだ間もないピッカピカの『HONDA TACT』、1年半落ちの中古だったけど。お釈迦になったバイクに残り10ヶ月間払い続けたのはせつなかった。
 高速に乗る前に、そいつが事故ったガソリンスタンドを通ったもんだから、ついついそんな懐かしくて苦い思い出も一緒にドライブしたのである。
 荒井由実を聴きながらの高速。苦かったり甘酸っぱかったりしながらニキビ面満載気分で飛ばしたけど、ルームミラーに映る俺は真っ白いヒゲと白髪がなびいて、時の流れを感じたのでありました。



『間違いだらけのCS』

 CS(クライマックスシリーズ)でドラゴンズがスワローズを敗り勝ち上がった。パシフィックでは楽天がホークスを撃退してリーグチャンピオンシリーズに駒を進めた。
 確かにパシフィックは盛り上がっている。何もノムさんの勇退ムードどうこうではない。優勝したファイターズから3位のホークスまで力量が拮抗していたからだ。4位に甘んじたライオンズにもCS進出のチャンスは終盤まで残されていたわけだし、面白いペナントレースだった。
 ところがセ・リーグはジャイアンツのぶっちぎりである。2位のドラゴンズとは実に12ゲーム差。3位のスワローズに関して言えばシーズン負け越しである。首位ジャイアンツとのゲーム差は「どこまで離れてるの?」というのが実感である。
 それでもCS制度下ではスワローズが参戦した。そしてスワローズに勝ったドラゴンズが12ゲーム差という前代未聞の伝説を背負ってジャイアンツと対戦する。
 12ゲーム差をつけられたチームがたまたま短期決戦で勝利したとして、それで本当のリーグチャンピオンと言えるのだろうか?もしペナントレース残り20試合を残した時点で確実に3位以内を確保したチームがあるとしよう。しかも首位にはとうてい及ばないゲーム差である。そこでCS用に残り試合を調整などしようものならシーズン終盤は緊張感に欠けたものとなりファンの期待を裏切ることになる。そんなことがあってはならないが、けれどシーズン最終勝率を逸したのであれば次なる鉾先はリーグチャンピオンである。そうならないとは限らないCS制度なのである。
 12球団のうち6球団が進出するCSがどうして必要なのだろう。140試合以上も戦って6チームだけを落として、それからはポストシーズンで仕切り直し。
 どこが優勝しても誰かが不満を言うCS制度。文句無しの日本一を成し遂げられるのはジャイアンツとファイタースしかいないのだ。
 なんだかドラゴンズが気の毒に思えてきた。彼らが勝利すれば間違いなく逆風が吹く。彼らが悪いわけではない。プロ野球機構のCS制度がすべて悪い。
 CS導入で良かったことは、ノムさんの楽天最期のシーズンに花を添えられたことだけだが、本来のシーズンであれば、もうユニフォーム姿のノムさんはいないのだ。



『人さし指の思い出』

 ちょっとしたことで右手の人差し指からバイ菌が入り、指が明太子ぐらいに腫れ上がって、歯痛のような痛みを伴い堪えられない痛みが続いた。そればかりではなく、血管症という、血管内にバイ菌が入って心臓に向って逆流するあまり芳しくない症状になってしまった。もう右手というか右腕はパンパンに腫れ上がり、湿布で冷やさなければならず、そこに包帯を巻くもんだからミイラ男のようになってしまったのである。
 お医者さんの言うことは3つ。風呂に入らないでください。運動は控えてください。お酒は絶対にダメです。どれもこれもなんてことないようだけどかなり厳しい条件である。
 で、何日間我慢すればいいのですか?と問いかけると、「痛みがひいたら&腫れがひいたら」と返ってきた。具体的に?と付け加えると、「ざっと一週間」らしい。
 一週間も風呂に入らないわけにはいかないし、酒は禁断症状が起こるし、週末にはふる里の仲間とゴルフが予定されていた。
 ということで、水曜日の診察から金曜の夜まで風呂はシャワーで我慢し、酒はみんなが酔っぱらうのを横目に緑茶で我慢し、なにより動くのをやめた。朝起きて首から肩がバリバリでもストレッチもなし。ストレッチポールでカラダをゴロゴロさせるのもだめで、背伸びもやめた。全身の筋肉が3畳一間の物置に閉じ込められたみたいで窮屈でしかたなかったが、ゴルフと同級生飲み会のために、僕の筋肉と胃袋は3畳間から一歩も外へ出なかった。
 
 おかげで土曜日にはゴルフクラブを握ることができて、スコアもとんでもないことにはならなかったし、その晩、集ってくれた同級生のみんなと酒も飲めた。
 我慢&リリース。たった3日やめただけだけど酒は普段よりも格段と美味かった。
 としやくん、美味しいお肉をありがとう。ゆきみちゃん、あいかわらず無茶苦茶でスマン。来てくれたみなさん、またはじめましょう。やっぱふる里はえーね。



『ふる里のこと』

 実家のある町、なんて穏やかなんだ。「町内」を実感させてくれる場所は、ふる里しかない。昨日の日記じゃないが、強がりを外せる場所でもある。
 この町にも3年後には国体がやってくる。来年は陛下を御迎えしての行事も予定されている。めったにないことにふる里は湧き上がっている。こういうのは確実に人々の温度として現れる。
 ふる里に残った者は誰もが「田舎」という表現を嫌い、都会に出た者は「田舎」という表現を使いたがる。どっちにころんでもやっぱりふる里。どちらも大切な場所であることに違いない。
 いいじゃないか、田舎。ふるさと。ただ、ふる里の特産品をあれこれと並べ立てるのはいいが、本当のふる里の資源は人々であることを忘れてはならん。
 実家、お墓、学び舎、田舎だろうがなかろうが、たったひとつのふる里である。
 そしてふる里では、明日、例によってゆきみちゃんのスナックで高校32年生たちがバカ騒ぎするのである。
 その前に今日は、ふる里の偉い人たちとマジな話をせんといかん。ありがたいことだ、この歳になって呼んでもらえるのだから。うなぎ、最高にうめえし。




2009/10/22

『花粉症に本気でサヨナラ』

2009/10/21

『真夜中のハイウェイ』

2009/10/20

『間違いだらけのCS』

2009/10/19

『人さし指の思い出』

2009/10/16

『ふる里のこと』
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