「ポルノ」



 「それではこれでホームルームを終わりますが、栗山くんだけは教室に残ってください」
 中学に入学したての5月。春の遠足がおわったばかりの頃の放課後、俺は無人の教室で一人座らせられていた。原因は分かっていた。遠足に持っていったワニの豆本(ワニブックスから出版されていた小っちゃな辞書みたいな本)のことだ。
 ワニの豆本には種類がいっぱいあって、「なぞなぞ辞典」とか「おもしろ歴史Q&A」とか、一見あそびっぽいけど雑多なネタがいっぱいつまってて、編集者やライターを目指す人にはとっても役に立つものが多かった。
 で、原因になった豆本というのがその名も『エッチな本』。もちろんこれも例に違わず女体の部位の特徴や役わり、男子との違いなど医学的に見ても、ものすごく為になることばかり書かれてるんだけど、担当の梶田先生は『エッチな本』というタイトルだけで、それを取り上げてしまったのだ。
 「栗山くん、なんでこんなポルノ雑誌を遠足に持っていったんですか?」
 「そんないやらしい本じゃないです」
 「でも“エッチな本”って書いてあるじゃないですか」
 「…でも、勉強にはなります」
 「まだ早いんです、中一のキミには」
 「じゃ、いつになったら見ていいんですか?」
 「もういい、帰りなさい」
 寺の住職でありながら数学の鬼教師といわれる梶田先生のアタマは堅い。
 仏に仕える妙な正義感とシャレのきかない数学的な考えで、俺はたちまちエロガキのレッテルを貼られるはめに。
 「栗ちゃん、エッチな本、取りあげられたんだってさ」
 「教科書忘れてもエロ本だけは持ってくるらしいよ」
 オレ、とりあえず耐えた。怒る気にもならなかったし、自分が悪いなんて思ってなかった。
 だけど次の日、俺は忍耐のK点をついに超えてしまった。
 それは部活動終了後、夕方遅めに帰宅した時だった。
 なんと梶田先生がわが家の今で親父と向き合っていたのだ。
 しかも脇にはエロ本の山が。
「エロトピア」「漫画ボン」「バチュラー」ついでに「平凡パンチ」と「高校生無頼控」。
 得意満面な顔で梶田先生が囁く。
 「コレ、全部君のベッドの下から出てきたんですよ」
 もう頭がチンプンカンプン。エロ本が没収されていることより、エロ本を出してきた親父を恨んだ…つもりだった…けど、次の瞬間、その思いが間違っていたことに気づく。
 「先生、これはポルノ本です。でも息子が遠足に持っていったのは“エッチな本”というタイトルの豆辞典でポルノじゃないはずです」
 「でもね、お父さん…」
 「すみません先生、私、用事があるもので…」
 そう言い残すと、ステテコ姿になり居間から丸見えの庭で親父はあからさまに芝刈を始めた。
 「おーい、圭介も手伝えやー」
 翌日のホームルーム。俺はクラスメイトを引き止め、教壇の上に立って、昨日先生に没収されたエロ本を広げて見せた。
 「みんなこれはエロ本です。これは学校に持ってくるとマズイです。そして俺が持ってきたのはコレ。“エッチな本”。これはいいと思ったけど、やっぱりコレもマズイみたいです。これからこういう本を持ってくるときは梶田先生に相談した方がいいと思います。じゃコレ、俺が持ってるとまた取り上げられるので、先生にあげます。」
 申し訳ないぐらい、クラス中が大爆笑。
 梶田先生、真っ赤っか。
 「それとさ、ベッドの下にエロ本隠さないほうがいいよっ。」
 帰宅後、芝刈りをしている親父に学校であった出来事を話した。
 その晩、俺ははじめて親父の酌でビールを飲んだ。


青春白書『青い空。蒼い気持ち』より



: フリーペーパー LIVE10



「BOOM」



 初恋は南沙織だった。
 小学校3年の夏、彼女がテレビで『17歳』を唄い出した瞬間から、好きになった。
 だけど、初めて人を好きになったのに、その人には会えっこない。
 好きになるよろこびと会えない辛さが交錯して脳が破裂しそうになった。
 「お兄ちゃん、俺、こんなにシンシアが好きなのに、やっぱ会えんのかん?」
 「そんなことあらへん。親父に相談してみろ!」
 今思えば、なんで芸能人に会うために親父に相談するのかよくわからんが、とにかく昭和の時代というのは困ったときにはオヤジ頼みだったのです。
 「おい、東京連れてったるぞ。『はとバス』と『夜のヒットスタジオ』や」
 相談してから1年が過ぎた夏の日に、俺はついにシンシアめがけて東に向かった。
 皇居で写真を撮り、東京タワーではろう人形館に入り、NHKでひょっこりひょうたん島と戯れた。
 けど、そんなの所詮付録。俺には『夜ヒット』と、その先のシンシアしか眼中にない。
 そして遂にフジテレビGスタへ・・・。あのときめき、身震い、緊張感。
 忘れられない30年前の俺の胸に打ち寄せたLOVEという名のビッグウェンズデー。
 ・・うわっ、すげーっ。みんなモノホン。にしきのあきらがいる、森進一がいる、野村正樹も岡崎友紀も、司会の芳村真理とマエタケとダン池田もみんな本物。
 でも、ひとりだけ、シンシアだけがいない。
 「なんでおらんの?なあ?おとーさん?」
 「ここまで来れたんだからもーえーやろ」
 「シンシアおるって言ったやん」
 「おらんもんしゃーないやろ」
 いかにも昭和っぽい親子ゲンカを目のあたりにした<ヒデとロザンナ>のロザンナが、泣きじゃくる俺の元へと歩み寄り、やさしく声をかけた。
 「どーしたのボク?」
 「シンシアがおらへんの」
 「ごめんネ。私が沙織ちゃんだったら良かったのにネ」
 ロザンナのマリアっぷりに野球帽をかぶったオヤジは深々と頭を下げ、兄貴は抜けめなく森進一にサインをしてもらっていた。
 夜のヒットスタジオ第199回。シンシアに会えなかった哀しみとロザンナの深い愛情と、シンシアに会わせてやれないのに東京まで連れてきてくれたオヤジの複雑な気持ちが、10数年後の俺を業界へと走らせた。


ブームと呼ぶにはあまりにも永過ぎる30年間の想い。
だけど俺には、このせつなさがあるからこそ生きられる。
今でも俺の気持ちは変わりありません。


シンシア、ずっと会えなくてありがとう。


青春白書『青い空。蒼い気持ち』より



: フリーペーパー LIVE 9



「愛だぜ!」



 国士舘大学体育学部では毎年、秋になると学部内競技会という体育祭が開催される。これがすさまじいレベルで、たとえば100M走では10秒台が続出するし、バスケの試合ではダンクまで飛び出してしまう。とにかくとんでもないレベルの競技会なのです。しかもその競技会では自分の所属しているクラブ競技への出場は認められない。つまり10秒台で走る奴は陸上部以外の奴でダンクもバスケ部以外の奴があ決めるわけです。
 当時、2年C組に在籍してた俺は、クラスのサッカーの応援でグラウンドに駆けつけていた。白熱する試合展開に思わずアナウンスブースのマイクを横取りし、調子に乗って『飛び出せ青春!』の村野武範の面をしてチームを盛り上げると、それが全校中のスピーカーから流れ、たちまちグラウンドは満員のギャラリーで膨れ上がった。
 <今なら何を喋ってもウケる>と本能的に察知した俺は、ゲームそっちのけでいかりや長介とかザ・ぼんちのおさむちゃんとか、今では考えるだけでも寒くなるような物真似を連発して会場を沸かせると、その甲斐あってクラスは逆転勝ちし、俺は昨年のミスターのようにクラスメイトの胴上げで宙を舞った。
 まさに夢見心地。しかし、これから事態は一変した。
 なにやら前方から190cm近い坊主頭の大男が2人、俺めがけて歩みよってくる。ジャージーの色から奴らは一年生だと分かった。
 『ん?ナニ?』 『失礼します』
 大男たちはいきなり俺の両脇を囲み、脇に手を通すとガッチリと俺の腕をロックした。
 『ナニすんだよ?』 『スミマセン、先輩の命令なので…』
 そのまま俺は拉致られ、捕われた宇宙人みたいなカッコで魔の松蔭寮へと連行された。
 国士舘大学松蔭寮。柔道、空手、剣道、相撲、レスリングなど武道系中心の部員が生活する通称・網走。その起きてと規律は陸軍中野中学校より厳しく、左翼団体の集団リンチよりも血を見る武蔵野のアルカトラズ。何人たりともそこには近づけず、またそこから脱出することも同様にして不可能とされる生き地獄である。中でも柔道部は寮内でナンバーワンのハバを効かせるキング・オブ・松蔭寮。そして連行されたその先は柔道部副主将(寮長)の部屋だった。
 『押忍!失礼します。○○先輩の命により連れて参りました』
 『ほーう、ワレかい、昼寝の邪魔したのは?』
 『・・・・・・』
 『ワレ、松蔭寮の掟、知っとるんじゃろうのう?』
 ・・・・・・(もうだめだ。死ぬかも。殴られなくても恐怖で死ぬ)
 この先、何が起こるかを予感した大男2人は副主将に一礼すると、ドアを締めて部屋を出た。
 俺は震えた。今までの人生の中でいちばん。あまりの恐怖により俺の中のすべての神経回路が混線して言葉さえ失くしてしまった。
 『返事もできんような奴には身体で教えたるしかないわなナー』
 ・・・・・・死ぬ。そう覚悟した時だった。
 『やめてください。悪いのは僕らも同じです』
 なんとクラスの連中が10人ぐらい部屋の中に駆け込んできたのだ。
 『なんじゃい、キサマら』
 さらに5人、6人と部屋に駆け込み同じセリフを繰り返した。
 『あー、もうええわい。次にやりよったらタダじゃすまんけんのう。早よ出てけやボケどもが』
 気絶寸前で今度はクラスメイトに両脇を囲まれた俺は、引きずられるように部屋の外へ。そこには部屋に入りきれなかったクラスメイトが11人。さらに寮の外にも20人近くの仲間が俺の無事を願い、待っていた。
 嬉しかった。神経が混線して涙は出なかったけど、心の中で号泣した。
 その日、最終種目のハンドボールで2年C組は逆転勝ちして総合優勝を決めた。みんなの心ある計らいで俺がクラスを代表して優勝トロフィーを手にすることになった。そして準優勝の表彰状を手渡された副主将のクラスの目の前で、俺は再びクラスメイトの手により宙を舞った。


青春白書『青い空。蒼い気持ち』より



: フリーペーパー LIVE 8



「わかれ」



なんでいつもアイツだけが…。
高1の春休み。夜中の一時に俺たちは加茂野駅前に集合した。
セブンスターと缶ビールをチビチビやってはいたけど、それ以外は、特に悪さをするわけでもなく、解散したキャンディーズの話で盛り上がってただけだった。アイドルユニットの話というのは、各人の個性があらわれるものである。目立ちたがり屋で不良娘が好きな俺はもちろんランちゃん。クールにキメてるわりには、運動部系の、ロリコンポッチャリに関心を示すタカイはスーちゃんを。そしてキザに、自分のスタイルを貫き、裏番に徹するナガセはやっぱり裏的存在のミキちゃんが好きだった。キャンディーズの話を夜明けまでした後、ビールにヤラれてフラフラになった俺たちを、ポリ公が呼び止めた。「待たんかこらあー」。足の早い俺はダッシュで、タカイはチャリンコを盗み、ナガセは路駐のモンキーを狙った。もちろんモンキーに鍵はなく、またがってガチャガチャやってるところを、御用。「どうせつかまるならバイク盗んでつかまりたいやろ?」 ・・・美学なのだ。アイツ、最期まで、俺たちがいたこと、口を割らなかった。停学3週間。自慢のリーゼントは哀れな3分刈りへとカタチを変えた。
高2のクリスマス。その日、17歳の誕生日を迎えたナガセはミチヨちゃんに夢中だった。アキトシの部屋を借りて、その胸の内をポツリポツリと語りはじめた。「あのな、すごいな、好きなんやて」。ミチヨちゃんもナガセを好きになって、いや、きっともう好きだったんだと思う。そしてふたりは互いに初めてのキスをした。
「もう、いーかい?」。アキトシの部屋のふすまをそーっと開けると、ベッドにかけられたスヌーピーの布団の上にふたりチョコンと並んで座ってた。目で“キスした?”と合図を送ると、ナガセはコクッとうなずき、ミチヨちゃんは顔を赤くして下を向いた。喜びのあまりナガセはリザーブをガバ飲みして、ミチヨちゃんの前でゲロを吐いた。
30分前に生まれたばかりのロマンスは、その瞬間、音もなく崩れ去った。
 高3の夏。タカイの家でセブンスターとビールをやってた時、ナガセが顔をゆがめた。
 「アタマ痛え。割れそう」。脳腫瘍だった。あれ程楽しみにしていた体育祭の応援合戦を目前に、アイツは入院した。体育祭用に準備した自慢のリーゼントは、手術用の丸坊主へと変わった。
2月。2度目の手術を終え、ナガセが学校に還ってきた。ようやく伸びた髪を無理やりポマードで固め、短ラン、ボンタンに身を包んで復活したナガセは、ブランクを感じさせない程、クールでイカしてたけど、憧れていた東京での暮らしは病魔によりあきらめざるをえなくなった。
そんなナガセが、一度だけ東京に遊びに来た。ポケットに16万円入れて、俺のアパートに10日間、昼も夜もなく遊びまくった。
帰りの新幹線はゴールデンウィークのラッシュに重なり、俺たちはトイレの便座に座って名古屋を目指した。「ケータン、俺、もう一度、東京来たい」。「来たらえーやん」。「うん」。ナガセが再入院したのは、それから10日後のことだった。
 大学2年の夏、深夜にデンちゃんから電話が鳴った。「ナガセ、死んだよ」。
 俺は翌日の朝一番の汽車で田舎に帰り、その足ですぐナガセに会いに行くと、ナガセのおばさんがこう言った。「2日前、意識もなんにもないのに、“お母さん、500円ちょうだい。屋上にみんな来てくれたで、ジュース買ってこうと思って。・・・でも、やっぱりいーわ。包帯巻いてて、カッコわりーし”」。
 それが最後の言葉だったそうだ。アイツ、死ぬ寸前まで美学貫いて・・・。クルマも仮免まで行きながら、髪型もリーゼントに戻せないまま、憧れの東京で暮らすこともなく、女を抱くこともなく、たった一回のキスだけを想い出に、天国に逝っちゃった。
 なんでいつもアイツだけが・・・。
 あまりに哀しくて、お通夜を抜け出してみんなで国道をぶっ飛ばした。時速140kmでオーカワのスカGがカーブを曲がろうとした時、コーイチのGSSが急に並んできて、俺たちは140kmのまま、ガードレールを突っ切ってそのまま田んぼにダイブした。
 誰もが<死>を予感した時、俺らの目に映ったのは、東の空を横切るひとすじの流れ星。一緒に乗っていたオーカワもデンもコーイチの車に乗ってたヤモトもミツオも、みんなみんな見た流れ星。自分の分まで長生きして欲しいと願うナガセの想いが星を走らせたのだろうか?
 そして俺たちはアイツが死んだ歳の倍の歳となり、今、こうして生きている。


青春白書『青い空。蒼い気持』より



: フリーペーパー LIVE 7



「あこがれ」



 中1の冬。1時間目の数学をズルして2時間目から出ようと裏通学路の田んぼ道を歩いていると後ろから俺を呼び止める声がした。
 「ちょっとー、ケースケ。はいんなよ、傘」 呼び止めたのは2コ上のモモコさんだった。
 モモコさんといえば緑が丘中学校始まって以来、最高の美人にして、最高のスタイリッシュボディにして、最高のワル。もちろん女番長でモテモテのマドンナ。野郎はみんなイチコロ。モモコさんが体育館で不良仲間のジュンコさんとじゃれ合ってて、ブラウスを引っ張られた拍子に肩からブラジャーのひもがチラッと見えただけで体育館中には拍手が巻き起こり、植村は鼻血を出し足立は涙を流したぐらいのセクシーガールだった。
 13歳の俺らにとって超美人の不良少女はあまりにも魅力的で、まるでテレビの中で小躍りするアイドルがブラウン管を抜け出して自分たちの中学に転校してきたぐらいの衝撃的で感動的なことだった。だからもちろん中学中の男子はモモコさんにイカれてるんだけど、何しろとんでもない不良で、おまけに髪の毛はアフロみたいなパーマけけてブルーのアイシャドウ入れて口紅はパープルで、地面スレスレのロンスカは規定をはるかにオーバーした38本ひだ、セーラー服はヘソ上丈でスカーフはなし、足元は校則のズック靴をまるで無視してリーガルのデザートブーツ(これが超シブい)、手元には通称・万引き袋(今でいうトートバッグ「VAN」製)、そして真っ白なトレンチコートに英国紳士が持つような急カーブ描いたアンブレラ。あとヨーヨーを持ったらスケバン刑事そのまんまのモモコさんだから普通の男子では声をかけるどころか目を合わすことすらできない。話ができる男子はとりあえずイキガッてる奴か幼なじみか、あるいはホモぐらいなものだった。
 そんなモモコさんが例によって1時間目の終わりに堂々と校舎前のグランドに現れると、全学年全クラスの窓際の席の男子が外を覗き込んでヒューヒューするのが我が中学校の儀式だった。
 ところがその日の儀式だけは様子が違った。おれがモモコさんの傘の中にいたからだ。
 窓際の視線は、モモコさんより傘の中の男が誰なのかを知るために痛烈な光線を放っていたのが俺にはわかった。「早く通りすぎてくれ」。心の中で神に祈る俺の気持ちを見透かしそれをあざ笑うかのようにモモコさんが言った。「傘たたんじゃおっかな♡」。
 えっ?  って声に急ブレーキをかけた瞬間、スパッと傘は閉じられ、なぜかモモコさんの左手は俺の右手にクロスされ、なんと左のほっぺが俺の右肩の上にチョコン。
 学校中の視線、俺の右肩付近に釘付け、モモコさんより確実に6cmは身長が低い俺の肩に顔を乗せるもんだから、構図としてはめちゃめちゃアンバランスで笑えるはずなのだが、二億四千万の瞳にはもちろん笑いはなく、500%のいかりだけが俺の目玉につき刺さった。
 「じゃーねー、ケースケ。遅刻しちゃだめよ♡」。
 じゃーねーどころじゃない。俺、ここであと2年は過ごさなきゃならんのに。
 2時間目終了後の休み時間。早速2年のワルが4人ほどご訪問。「おめー、モモコさんと重役出勤なんて、えー度胸やなー」。3時間目終了後、3年のワル3名様ご来訪。「モモコと一緒にエラそーに遅刻してきて、俺らナメとるんか?」。そしてホームルーム終了後にはまたまた3年の皆様数名がお出迎え。「えーから体育館裏に来い」。
 5分後。体育館裏。もうアカンと思ってなんでもいいからとにかく大声で叫んだ。
 「なんでおめーらひとりで来れんのじゃ–。ひとりじゃ俺に勝てんのかー」
 恐怖のあまり声がソプラノになってたらしいが、どうやら俺、マサトっていう有名な不良の胸ぐら掴んでアゴに頭突きかましてたみたい。
 それ以来、2年も3年も何も言わなくなった。
 数日後、また数学すっぽかした日にモモコさんと一緒になり、またまたモモコさんは意地悪で腕組んで校舎の前通ったけど、窓際の視線に怒りはなく、むしろそこには尊敬の念さえうかがえた。アレ? って感じだったけど、なんかすごく気分がよくなって、組んだ右手でギュッとモモコさんを引き寄せた。
 でもあこがれのチコちゃんから「モモコさんの恋人とはつきあえない」ってフラれた。


青春白書『青い空。蒼い気持ち』より



: フリーペーパー LIVE 6




2006/08/19

「ポルノ」

2006/08/19

「BOOM」

2006/08/19

「愛だぜ!」

2006/08/19

「わかれ」

2006/08/19

「あこがれ」
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