Vol.9 「グルメもんだいの巻」
夜回りに行くおっさんのようだ。
今ちょうど2歳4ヶ月。
カッパはディズニーランドで買った。


 ソーセージは仮面ライダー龍騎の絵の描いたヤツを好んで食うので、今ではソーセージそのものを「りゅーき」と呼ぶようになった。発音に忠実に書くならば、「ぎゅーい」である。フライドポテトも結構食いやがる。マックのことを「ぽてと」と呼ぶことはいうまでもない。あ、これも厳密には「ぽっぽ」ですけど。
 チョコレートも大好き。中におまけが入ったチョコエッグ的なチョコをよく買う。薬を飲ませたりする局面で、ペラペラなチョコの殻が役に立つ。しかし、小僧の味覚は侮れない。あるとき、ラングドシャにチョコレートが挟まった < ゴディバ > のお菓子を内祝か何かでもらった。で、おやつタイム。おこたの上に < フルタ > や < ブルボン > と共に広げてみると、一目瞭然。 < ゴディバ > 、 < ゴディバ > 、 < ゴディバ > 、 < ゴディバ > 。 < フルタ > も食え!
 輪をかけて好きなのは、小さいイチゴ。食後、デザート的に食らっているときなど、皿からひと粒口に放り込み、“予備”を左手に持ち、居間の方へダッシュしていく。そこで用事(テレビの番組内容や、どんなおもちゃが散らかっているかのチェック)を済ませると、おもむろに反転し、再びイチゴの皿を襲う。まるで爆撃機のようだ。おそらく、イチゴひと粒分の摂取カロリーと居間まで用事をしにいく消費カロリーがイコールなのであろう。エネルギーのキャッチ&リリース。まあでも、いかにも幼児らしく微笑ましい。親が言うのもなんだけど。
 しかし一方で、以下のようなものも大好きだ。
・ コンニャクの煮たヤツ(噛まずに飲み込む。テツ風に発音すると「こんきんこ」)
・ れんこん
・ ニンジン
・ 筑前煮(当然ですね)
・ アスパラ(八百屋に行くと必ず勝手にカゴに入れる。しかも食べるときは、他人の皿から勝手に穂先部分を強奪する。父だって穂先ラブなのに)
・ 焼き海苔(タケダテツいわく「ノリノリ」。延々食う。味付け海苔は不可)
・ 緑茶(お気に入りのバズのカップに氷を入れて。絶対乾杯する。氷も食う)
 完全におっさんの食い物である。顔もどちらかというとおっさんだ。一家3人で東海道線に乗ったとき、たたみいわしを与えておいたら、おとなしくしていたのもおっさん的だ。藤沢から新橋までの間、タケダテツは、裏側にノリのついたたたみいわしを延々食い続けていた。たたみいわしのパッケージには「高級珍味」と書いてあった。
 電車でたたみいわしをかじる幼児、それがタケダテツである。



Vol.8 「ばいばいきん の巻」
「ばいばいき」と「ばいきんまん」。
元はばいきんまんが「ばいばいき」でした。
結局『バグズ・ライフ』買っちゃった。

 ばいきんまんは、アリなのか。アリかナシかを、つまりはOKかNGかを尋ねているわけではなくて、蟻なのかと。英語でいうところのアントなのかと。
 近頃しきりによくしゃべるヤツは、「ばいばいき〜ん」という語をマスターした。

 ばいばいきん(名)アンパンマンにぶっ飛ばされるときに、ばいきんまんが言うお決まりのセリフ。転じて、オーエルや女子大生などのナウなヤングの間で、お別れのことばとして「バイバイ」のかわりに使われる。(現代用語の基礎知識2002より)

 朝、父が出かけるときやお風呂から先に出るときに、このことばを得意げに使っていたが、いつからか「ぶぇぶぇ」(バイバイの意)にとってかわられた。「ばいばいきん」というときには“ばいばい”と言えるのに、“きん”が取れるとなぜ、“ぶぇぶぇ”なのかがわからない。わからないが、今回、言いたいのはそこのところではない。
 ヤツは、別れの言葉としての「ばいばいきん」を封印するかわりに、別のものを「ばいばいきん」と呼び始めたのだ。
 アリである。近所のくされレンタルビデオで借りてきた『バグズ・ライフ』のDVDを一家仲良く観賞していると、ヤツはいきなり「ばいばいきん!」と叫んだのだ。画面にはアリ。とにかくアリが大量に出てくる作品なので、タケダテツ完全崩壊。アリの数だけ「ばいばいきん!」。彼の発音どおりに書くならば、「ばいばいき」。
 タケダテツの母の話によると、数日前から、ヤツはアリんこをそう呼ぶようになったという。道端で発見するたび、指を差して「ばいばいき」。
 これと同時に、本家ばいきんまんのことも「ばいばいき」とは呼ばなくなった。で、なんて呼んでいるのかというと、「ばいきんまん」。おお、ちゃんと呼べとるやないけ〜。

 『バグズ・ライフ』は7泊8日で、タケダテツ家に別れを告げ、くされビデオ屋に返却された。「ばいばいき」がなくなることでタケダテツがぎゃーぎゃー騒がないように、テツの母は事前に「これはくされビデオ屋から借りているもので、いずれは返さないといけない」ということを懇切丁寧に説明していた。おかげで、非常にスムーズに返却は完了した。しかし返却以降、タケダテツはまた新たなものを「ばいばいき」と呼びはじめることになった。
 くされビデオ屋の前を通るたび、指差しては……。



Vol.7 「DVD作成大作戦 の巻」
うちのウッディとバズ。
バズはあと4人ぐらい、
ウッディは巨大版もいます。
ウッディの右足の裏には、
タケダテツの名前が
かっちょよく。


 父が旅をしてから早3か月。この間、タケダテツの家のリビングにある超大型超高級テレビでは、『トイ・ストーリー』(以下・TS)と『トイ・ストーリー2』が270回ぐらい上映された。
 タケダテツはバズのことを「ばあば」という。ビデオテープならば、自ら入れ替えて上映できるほどのスキルを持つタケダテツだが、『TS』はDVDだ。幼児による上映は不可能。朝起きるや否やたタケダテツは、「ばあばばあば」と連呼しながら、父を強制的に起床させる。病気だ。
 困ったことにタケダテツは、DVDの映像を観るのみならず、盤そのものをいじくるのが大好きだ。"1" を観ているときには "2" を、"2" を観ているときには "1" の盤をぺたぺたいじくり回す。盤には指紋やらいろんな液体やらがついてエライことになってしまう。タケダテツはぞうきんがけも大好きなので、" DVD×ぞうきんがけ " という恐ろしいプレイまであみ出してしまった。幸いにして『TS』シリーズは無事だが、父がアメリカからネットで取り寄せた『ベイビー・アインシュタイン』は秒殺されてしまった。
 被害の拡大を食い止めるために、タケダテツ家には対策本部が設置された。

 本部長(父)により提出されたプランはこうだった。
(1)雑誌のふろくなどのいらないCD−ROMを発掘する
(2)『TS』の盤をローソンでカラーコピーする
(3)コピーを丸く切り抜く
(4)CD-ROMに(3)を貼付ける
(5)梱包用の極太セロテープでコーティング
(6)できあがり

 タケダテツが昼寝に入った日曜午後3時、ミッションは実行に移された。ノリとハサミとカッターと、切るときの台替わりのチラシの束を駆使して。約30分で、2枚のCD-ROMはDVDに生まれ変わった。明らかに表面の質感が違うし、端が少しペラペラしているのが問題だ。タケダテツは2歳前にして早くもA型らしい神経質さを発揮している(例:父のジーンズのわずかなほころびに指をグリグリ入れる、少しでも開いているドアは必ず閉めるなど)。
 ほどなくタケダテツ起床。いつもは「ばあば」に半ばうんざりの父と母だが、この日ばかりはワクワク。果たして、タケダテツはニセ・トイ・ストーリーDVDを高々と掲げて言ったのであった。「ばあば」。赤子の手をひねるとはこのことだ。しかし、突然、盤をぞんざいに扱うことを認めるのもアヤシイので、タケダテツには大切に扱うよう指導している。
 もちろん今も『トイ・ストーリー』1日3回ペースは崩れていない。



Vol.6 「父、旅をするの巻」
こんな巨大レゴがいっぱい。
でも夜にはエロ番組。
レゴランドのエントランスはこんなん。
でも夜にはエロ番組。


 ディズ中、冷めやらず。
 地元駅前のデパートの『ディズニーストア』に、定期的に顔を出し、ヘンなプーさんばっかりでがっかりし、ケータイの待ち受け画面をバズ・ライトイヤーに変えてる隙に何か月も過ぎちゃった。ヘンなプーさんというのは、かぶりものとかをしたヤツであるが、海外のウェブサイトを見ると、"Japanese original" みたいなことが書いてあって、レアもの扱いされていた。
 ともかく、そんな数か月の間にタケダテツの父は、デンマークとドイツへ飛んだ。レゴの本社と『レゴランド』というところに行ったわけだ。
 レゴ本社があるのは、デンマークのビルンドという小さな町。人口1万人中4000人がレゴ社員という、日本でいうと愛知県豊田市みたいなところだ。ココには、本社と工場と『レゴランド』と『ホテルレゴランド』がある。というか、それしかない。スーパーが1軒あるけど、夜6時に閉まる。唯一にして最大のお楽しみ『レゴランド』も6時に閉まる。しかし、日は暮れない。北欧だから、夜10時頃まで明るい。晩メシを食った後は、テレビしかない。でも、テレビに出てくる人が全員デンマーク語をしゃべるので、1�もわからんのだ。
 『レゴランド』自体は楽しいんですよ。ありとあらゆるものがレゴでできてて、ジェットコースターとか汽車とかヒコーキも、"レゴで作ったっぽいデザイン" になってるし。ディズニー的テーマパークは、オトナのデートスポットとして厚生労働省にも認可されているが、『レゴランド』は完全にコドモ仕様。ドイツの『レゴランド』には噴水があって、それはスポンジみたいにふがふがな地面から直接水がびゃーっと出るんだが、ドイツ人のコドモたちがキャーキャー言って走り回っていた。全裸でちんちんぶるんぶるん。
 ドイツでも夜、テレビを観てた。今度は画面にクギづけ。夜12時過ぎると、裸のおねえちゃんが延々出続けるのだ。丸出しも丸出し。CMも全エロ。精密機械とかクルマとかが得意な国ゆえ、お堅いかと思いきやエロエロですよ。やっぱり白昼堂々、ちんちんぶるんぶるんな国民は違いますなあ、と思った。
 今やタケダテツも「ちんちん」が言えるぐらい立派な幼児に育ったが、おみやげの警察署セット(開くと警察署、閉じるとリュックになる。カワイイ!)は何のことだか意味がわからないらしい。残念だ。



Vol.5 「ディズ中の巻」
オレ・オン・ジーニー
天気は雨。
いや〜ん、
みんなミッキー。
全部盗んだ。


 今、タケダテツの父はちょっとアタマがおかしくなっています。
 タケダテツ一家はGW明けに東京ディズニーリゾートに行きました。(1)ディズニーシーに行き、(2)『シェフ・ミッキー』というレストランでメシを食い、(3)『ディズニーアンバサダーホテル』に泊まり、(4)朝起きてディズニーランドに行く。そういうプランでした。
 (1)は大雨。で、タケダテツは黄色いカッパを着(せられ)て、ディズニーシーで借りた金属製のごついベビーカーに乗(せられ)ってねり歩きました。
 (2)は、とてもステキでした。こども料理満載のビュッフェスタイルで、シェフの格好をしたミッキーやドナルドやミニーやその他の人たちが各テーブルにあいさつしに来てくれる。その都度、父と母はもの食う手を止めてカメラを構える。事務的に来て「ハイおしまい」なのかと思いきや、何度も何度もやって来る。最初は「おお、ミッキー」、カメラ構え! 「ああ、ドナルド〜っ」構え! ってやってましたが、さすがに3回も4回も来られると飽きる。しまいにはこっちが事務的にカメラ構える始末。まあでも楽しい。2時間いました。
 (3)もこれまたすごいのです。部屋中ミッキーまみれ。アンバサダー風呂には『ファンタジア』に出てくるほうきキャラが描かれ、アンバサダーアメニティは全部ミッキーマーク入り。アンバサダーシーツにもアンバサダースタンドにもアンバサダーマドラーにもミッキー。アンバサダー景色はうら寂れた駐車場だったけれど。ともかくシーツとスタンド以外の " アンバサダーさまざまなもの " はしっかりカバンに詰め込んでおきました。
 (4)ピーカン。灼熱の太陽が照りつけます。まるでフィリピンのような暑さ。どうせなら前日と足して2で割って、両方曇りぐらいの方がよかった。タケダテツの父はDポップマジックをフルでビデオ撮影し、" say cheese! " とプリントされたミッキーTシャツを買い、上機嫌でした。タケダテツは・・・アレ、そういえば、タケダテツはどうしてたんだろ? 父は自らがあまりに上機嫌で、そういう些細なことはあんまり覚えていないのでした。
 「もうそろそろ行こっか」とタケダテツの母が言うのに、タケダテツは疲れてぐうぐう寝てるのに、父はグズグズとおみやげ屋さんに吸い込まれ、聞かれもせんのに「これ、ええやん」を連発して、母を閉口させました。門を出てからも、駅前に控える巨大おみやげ屋さんにまたまた吸い込まれる始末。まさにディズニー商法に完全に絡めとられた男。
 タケダテツ一家を乗せたバスが、ぶるるんとエンジンをかけた瞬間、父の目からは涙がこぼれそうになりました。夕食をどうするか考えてるタケダテツの母に「また行こな」を連発しました。
 さて、現在のタケダテツの父ですが、仕事だろうとなんだろうとパソコンの前に座れば、とりあえずディズニーのウェブサイトに接続。本屋に行けば、『地球の歩き方リゾート フロリダ編』を熟読。旅行代理店の前ではアメリカ関係のパンフを激ゲット。『TSUTAYA』ではタケダテツのためと称して、『東京ディズニーランド15周年記念ビデオ』とかそういうのを借りる始末。ダビングしようとしてコピーガードがかかっててがっかりする始末。そして、『東京ディズニーシーアトラクションガイド』を毎晩眺めては、大きなため息をつく始末。avexから出ている『Dポップマジック』のCDは、当然わが家のヘビーローテーションで、" say cheese! " Tシャツはここいちばんのオレ・フォーマルウエアと化しています。あげくの果てには、オリエンタルランドのスタッフ・キャスト募集をチェックしたり、舞浜あたりの物件を調べるに至る。
 おかげで文体まで変わってしまいました。なんか、です・ます調の方がディズニーっぽいかなとか思っちゃったりなんかしちゃったりして。




2006/08/18

Vol.9 「グルメもんだいの巻」

2006/08/18

Vol.8 「ばいばいきん の巻」

2006/08/18

Vol.7 「DVD作成大作戦 の巻」

2006/08/18

Vol.6 「父、旅をするの巻」

2006/08/18

Vol.5 「ディズ中の巻」
このサイトに掲載のイラスト
写真・文章の無断転載を禁じます

Copyright © 2001-2010 MaroonBrand