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高校2年の冬。後輩のナンバが血相を変えて俺のところにやってきて鼻息まじりにこう言った。「全面戦争が始まる。チカラ貸して」。なにやら穏やかではない話ではあるが、この街でツッパリ続けるには避けられない。
話の詳細は隣町のなんとか君とかいう威勢のいい奴が地元のチンピラを数人連れて、ナンバ通う学校に殴り込みをかけたのだが、そこでナンバ返り討ちをしてなんともみっともないことになってしまったらしい。
ナンバにやられたことを、なんとか地元の暴走族のヘッドに話したら、「そんな奴、俺がしばいたる」というきおとになり、ヘッドの子分がナンバの家に「お前の街に殴り込みをかけてやる」と電話でけしかけたが、「こっちから行ったるわい」とナンバは逆殴り込みを公約した。そこで駆り出されたのが地元のワルども。すでにシンナー吸いすぎて使い物にならない奴もいたけど、抜けた前歯と志賀勝ばりの剃り込みにヴィジュアルインパクトがあったのでとりあえずそいつも採用された。
俺は親友のナガセと一緒にアディダスのジャージにフレーバーお履き木刀をもって隣町行きの電車に飛び乗った。
電車で行ったのがマズかった。30分に一本しかない電車の、しかも終着駅だったため、俺らはまんまと数十人に待ち伏せされ固まってしまった。木刀、日本刀、チェーン、ヌンチャク、中にはアメリカンクラッカーボールを持ってる奴までいて、おしっこちびりそうになったけど逃げようにもあと30分待たなきゃ電車は出ない。
「もうアカン。死ぬかも。」そう思った時だった。「俺がナンバじゃ。俺をしばくと言った奴はどいつや?」「おう俺や」「ちゅーことはおめーが一番強いんか?」「そや」「んならおめーをシメればそれで終わりなんやな。それとももっと強ぇ奴がおんのやったら出てこい」「やかましー」、バゴッ、ボカッ。たった2発。3秒でカタはついた。
隣町のヘッド、おねんね。そこへ地元の警官がドカドカやってきて、奴らは一瞬にして逃げた。
帰りの切符を握りしめ電車を待っている俺たちに警官が職務質問した。「お前ら大勢で木刀持って何しに来たんだ!」。喧嘩は強いが口下手なナンバが俺にウィンクして“頼む”とサインを送った。「あの、俺たちみんなで剣道同好会作ってるんですけど、今日はこっちの景色がいいところで素振りしようと思ってやってきたんです。さ、みんな、そろそろ帰ろうか」「オー!」。
真実を知ってか知らずか、警官は見逃してくれたが、へらへら笑ってるシンナー野郎だけは住所と名前を聞かれていた。
男として生きるために必要なもの。それは立ち向かう勇気。いつの日か息子ができたらば、ナンバの話をしてやろうと思う。
青春白書『青い空。蒼い気持ち』より
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