団長への道 ~特別編~

 今回は、先に行われた〔第91回全国高校野球選手権大会〕に於いて7度目の“全国制覇”を達成した、母校中京大学付属中京高校の栄誉を讃え、

“団長への道・飛翔~遥かなるアルプス”

としてお送りします。




「サードライナー!!、壮絶な試合にピリオドがうたれました~!!」

絶叫するアナウンサーの声。この瞬間母校の43年振り7度目の優勝が決まった!


 平成21年8月8日、全国4041校の頂点を目指し第91回全国高校野球選手権大会が開幕した。母校は愛知大会6試合で64得点という超破壊力打線を引っ提げ挑む大会。注目は花巻東の菊池、その怪物を倒すべく抜きん出た優勝候補がいない戦国大会。
 8月12日、雨で2日順延になったが母校の甲子園が始まった。俺達は今年初めて揃いのTシャツを作り甲子園に乗り込んだ。春の選抜時にはまだ完成していなかった新しい甲子園が全容を現し俺達を迎えた。ベージュ色の煉瓦タイルの外装は大リーグのオールドスタイルの球場を思わせる。蔦が絡まった壁が懐かしい。そんな甲子園が用意したのは一回戦屈指の好カード対龍谷大平安戦。母校同様に大学付属となり校名が変わったが、オールドファンには堪らない、中京対平安戦である。試合は5-1で母校が勝利、甲子園に5年振りの校歌が流れた。俺はというと愛知大会初戦同様、高速の事故渋滞で試合に遅刻。得点シーンは車中で観戦という失態だった。

 8月17日、2回戦対関西学院戦。
 地元校であり70年振りの甲子園勝利に湧く相手アルプスいや甲子園球場。3塁アルプス以外は関西学院ファンという超アウェー状態。試合もシーソーゲーム。9回表同点に追いつかれた。俄然盛り上がる甲子園。9回裏先頭打者2番國友が三振に倒れた。次打者は強打者河合。県大会からのバッティングは健在。両アルプスの応援がヒートアップする。そんな中、河合が初球を叩いた!「カキーン」乾いた金属音と共に白球が左中間に飛んだ。低く早い弾道の白球が左中間フェンスに直撃しグランドに戻った!?「走れ~、走れ~!」アルプスから絶叫の声が…。その時、2塁塁審が右手をぐるぐるとちぎれんばかりに回していた!「ホームランか?!ホームランやっ!!」狂乱する3塁アルプス、抱き合い叫ぶ仲間達。河合の打球が早過ぎてスタンドに入りグランドに跳ね返ったのが見えなかったのだ!こんな劇的な勝利は未だかつて経験した事がなかった。自然と溢れる涙を抑え予選から全試合観戦してきた親友のシンカイとがっちり握手した。2度目の校歌は感激ひとしおであった。

 8月20日、3回戦対長野日大戦。
 この日、平日にも関わらず母校のアルプスは満員。俺の携帯も平日なのに鳴りっぱなし。「ニシやん、頼むから勝たせてくれ」と養老タケシが言えば、「栄ちゃん頼む!」と親友オオサワが言う。メールも同様のものが多方面から入った。それもそのはず、初戦が雨天で2日も順延になったためにお盆に観戦を予定していた者達が未だ甲子園に来れていない。せっかく作ったTシャツも着れないでいる。Tシャツ作製提案者のナオマサもしかりだ。俺はそんな奴等の思いを胸にアルプスに陣取る。母校はその日も先制。5点先制で少し気が緩んだか5回に追いつかれる。春の選抜のままのチームならどうなっていたか分からないが、報徳学園に敗れてから精神的に進歩したチームはそれを跳ね返しその後12点を奪い、15-5の圧勝、準々決勝に駒を進めた。

 8月22日、準々決勝対都城商戦。
 名神高速も4日目の走行になると甲子園が近く感じて来たと同時に深紅の旗も近づく気がした。そんな名神高速を走る朝一本の電話が…。「ああ、僕だけど今日は僕の母校とですね、よろしくお願いします。でもね問題があって…もし都城が勝ったら大変なんよ。勝てば6000千万いるのよ、だけど現在3000万しか集まってないの。寄附が集まらない…。まあ多分中京が勝つから、お互い頑張って応援しましょう!」電話の主は後輩の九州男からだった。公立校の切なる悩みが漏れてきた。母校の資金は豊富だろう。甲子園が2ヶ月続いたとて大丈夫。そんな小さな物語がある中甲子園に到着。
 ここまで勝ち進むとチケットの入手が困難になる。しかし俺達には毎試合チケットを苦労して入手してくれるジンノがいた。試合前日に母校へ出向いて並び、人数分を買って来てくれていた。チケットはどうにかなる、しかしどうにもならないのが座席である。俺はこの日、親友のフトシとアルプス入場門最前列に並んだ。試合開始2時間30分前の事。3塁側アルプス入場門に続々と人が押し寄せて来る。土曜日とあって同級生や先輩後輩も多い。俺とフトシの少し後ろに野球部OB達の姿も見えた。前の試合が終わり入場が始まった。狭い門に数千人が押し寄せる。小さい子供達は息も絶え絶えだ。俺とフトシ、合流したセイジは座席確保にダッシュした。前試合の応援団が退場するのを待ち空いた席にカバンやタオル、ペットボトルにライター、タバコと貴重品以外の物を置き席を取った。50~60人分は確保しただろうか…。そこへ仲間達や先輩後輩が次から次へとやって来る。そんなみんなはあのTシャツを来て嬉しそうだった。試合が始まった。またも先制する中京ペース、途中1点差に詰め寄られるもきっちり駄目押しして、6-2で勝利!4度目の校歌が流れた。あと二つ。26年前の夏、俺達もこの場所までは来たのだ。しかしあと一歩で広商に決勝への道を絶たれた。次はあの花巻東。エース菊池の調子が悪いと聞いたが選抜準優勝校。油断は出来ない。

 8月23日、準決勝対花巻東戦。
 甲子園へ向かう名神高速には花巻東応援団のバスが沢山走っていた。「何時間かかるんや?大変やな…」この日も3塁側アルプス入場門のほぼ最前列に並んだ。フトシにセイジ、あのアナコンダ先輩にゴリラ先輩も…。第一試合は県岐商対日本文理。心情的には県岐商との決勝を望んだが…。帝京、PLと優勝経験のある強豪校を倒し力尽きたのか、惜しくも惜敗し甲子園を去った。決勝の相手は決まった!日本文理だ。相手はどこでも同じ、その前に目前の花巻東に勝たなければならない。
 アルプスの門が開いた!前日にも増して観客が溢れ我先にと階段を駆け上がる。3塁側アルプスにはまだ日本文理の応援団や観客が多数いた。勝った余韻と甲子園を楽しむかのようにのんびりしている。俺達はいつも陣取る場所へ向かった。そこには日本文理と書かれた鉢巻きや帽子を被ったOBやファンがのんびり座り込みバックスクリーンやグランドを眺めてる。甲子園のアルプスのルールを知らんようだ。俺達揃いのTシャツを着た軍団がその団体を囲んだ。ぐるりと囲まれた日本文理の団体はまるで四面楚歌状態に顔色を無くす。「中京さんが来た、中京さんが来た。早く席を空けないと」還暦ぐらいの男性があわてふためき席を立つ。それに合わせ周りの連中も一目散に退場して行った。新潟県の人達ですら中京を知っている。

 余談だが一回戦観戦中、何故か次の試合の横浜ナンチャラ高校の若いOB達がアルプスに多数いた。喫煙ブースへ煙草を吸いに行くとあの阪神タイガースもどきのユニホームを着た若造達が地べたに座りモニターを怠そうに眺めていた。その中の一人が「中京って何処よ?強いの?知ってっか?」と仲間に言った。余裕でヤニかましながら(煙草吸いながら)横にいた仲間はニヤニヤしながら「知らね~し!聞いた時ね~し!」と鼻から煙を出しながら…。そんな有り難いお言葉を聞き逃すはずがない!俺と一緒に煙草を吸っていた野球部OBヨゴウの顔が引き攣った!「おう、なんか言っとんな~ニシやん!」わざと若造達に聞こえるようにヨゴウが言った。「おうよ、知らんらしいわ中京を。舶来の人きゃ?」ブース内には中京のオールドファンやOB、後輩達が多数いた。俺の一言に気付いた人達が阪神もどき達を睨んだ。若造達はただ事ではない雰囲気と殺気にフリーズし無言の恫喝はそいつ達を恐怖のどん底へ招待した。横浜ナンチャラ高校よ、甲子園初出場おめでとさん、激戦区神奈川を勝ち抜いた事は大儀であった。だがな、聖地甲子園には暗黙のルールがあるんだよ。分かったか!新参者が吠えたらかんわ…。公の場だが母校を軽視した事と名誉のために言っとくわ!「100年かかっても我が母校の戦歴には勝てんわ!」


 ああ、スッとした。
 話を戻そう。


 ほぼ満員のスタンドが両校の登場を待っていた。うぐいす嬢の先発メンバー発表にどよめくスタンド。菊池の名前がスタメンに無いのだ。よほど調子が悪いのだろう。だがそれも時の運、武運である。決勝に立ちはだかる壁を破る試合が始まった。母校はこの日も先制、不調のエースを引きずり出すのに時間はかからなかった。不調の菊池も懸命に投げたが今の中京の勢いは誰にも止められない!9回表、11-1のスコアを誰が予想したか?あと一人…あと一人で壁を越えられる。そう思うと涙腺が決壊し唇が震えた…。接戦覚悟のこの日、試合前にゴリラとアナコンダと俺はある相談をしていた。「終盤試合がもつれていたら、応援歌や。儂が先陣切るで後はキョーデェーとエイイチで頼むぎゃ!」ゴリラが雄叫びをあげた。
 しかし試合は予想外の展開。最終回にゴリラから出た指示は「まっ、今日はえっか!楽勝だでな、はっはっはっ!明日、明日や!明日はめっちゃくちゃやったるがや!」と…。グランドでは最終打者が倒れ試合が終わった。整列を終え母校の今大会5回目の校歌が流れ出したと同時に俺は悪魔二人の間をすり抜けアルプス席に立った!「おい、エイイチ!お前…」後ろでゴリラが言った。俺は先輩を無視して校歌団長エールを振り始めた。止められても、恫喝されても殴られても俺はエールを止める気が無かった。俺にとっては明日じゃない、26年前ベスト4を勝ち抜いたエールを振れなかった思いがある。決勝じゃない、準決勝で勝ってエールが振りたかったのだ。
 涙が頬を伝う、足が震える。俺が振りたくて振れなかったエールを43歳になった今現実に振っている。校歌が終わった…。感無量の俺は俯いたまま顔があげれない。しかしまだやる事がある…。悟られてはいけない。「やってまったきゃ」ゴリラが笑う、横で優しく頷くアナコンダ。アルプス前に選手達が並んだ、43年振りの決勝進出に笑顔が輝いていた。俺の周りで仲間達がガヤガヤしてる。その内容は明日の決勝は月曜日、仕事で来れないという嘆き節。

 そんな一人オオサワが「えーちゃん、明日来れんで応援歌やってくれ…」と言った。周りもみんな囃し立てる。だが命令無視で校歌エールを振りこれ以上の事をやると流石の悪魔二人も…と思った。しかし校歌エールを振った以上観客に礼と明日決勝を戦う選手達にエールを振らなければ失礼だ。“明日じゃない。俺は今日の為に、今日エールを振る為に卒業以来27年母校を応援して来たんだ。やろう。決勝へ向かう若武者達に”俺は再びアルプス席に立った。アルプス上段を見上げ「中京ファンの皆さん、本日は御声援ありがとうございました。明日の決勝戦も御声援よろしくお願いいたします!」万雷の拍手と仲間からの「よう言った!」の声が…。その拍手と歓声にアルプスの注目が集まった。“さあ、どうする?やるか、止めるか”一瞬の迷いはあったが団長という性が体をグランドに反転させた。「いくどぉ~!中京高等学校の~明日の全国制覇を祈って~。フレー、フレー、ちゅうー・うー・きょーうー、押忍!」「フレフレ中京、フレフレ中京~!」アルプスが一体化した。抱き着いて来る奴、握手して来る奴、肩を叩く奴。俺はもみくちゃにされながら号泣した。若いOBから“ニシオコール”まで起きた。アルプス全体からもらった拍手が今でも耳に残る。帰りの運転中も涙が溢れ鳥肌が立つほどだった。

 翌日。母校は大接戦の末、43年振りに深紅の大優勝旗を手中にした。遂に念願の全国制覇を成し遂げたのだ!決勝ではエールを封印した。今度いつ決勝に勝ち進むか分からない。しかし俺は準決勝での勝ち名乗りを目標に来た。一気に決勝でのエールはおこがましい。正規の応援団として甲子園最後の団長、甲子園10勝の団長の誇りを胸に、今度は決勝で優勝エールを振るまで俺はこの先も母校を応援し生涯団長であり続ける。中京大中京高校、優勝おめでとう!!





“団長への道・飛翔~遥かなるアルプス”<完>



「the head・団長への道」を御覧の皆様へ。
いつも御覧いただきありがとうございます。
平成17年、「名古屋ページ」からお世話になっておりましたが、この度マロンQエストでの連載を卒業する事になりました。
皆様には長年大変お世話になり感謝の言葉しかありません。
マロンQエストは卒業しますが、「団長への道」は私の個人ページにて連載を続けます。
最後に長年私の連載編集に携わっていただいた、マロンブランドスタッフの皆様、そして私にこんな大きなステージを与え、公私共に御指導、御鞭撻、叱咤激励をいただきました、栗山圭介氏に最大級の感謝の言葉を、押忍、ありがとうございました!
皆様、またいつかどこかで…ニシ。


~ INFORMATION ~
今後の「団長への道」は、http://www.240.no-blog.jp./にて連載いたします。
続編第1弾は「2009 甲子園、それぞれの決勝戦」で連載スタートです!

元中京高等学校應援團
第59代 團長 西尾栄一



『the head・団長への道』〜一回生の章〜弐十六

〜一回生の章〜 弐十六


 満員に近い店内で棒立ちする俺達4人を店員は空席待ちの若いヤンキーとしか見ていなかったであろう。まさかこの4人がちびっ子ギャングになろうとは…。

 しかしギャングになるには丸腰で、顔を隠すわけでも変装するでもなし。揚句、もろ中京の学ラン。あるのは勢いだけの青二才。長居は無用、一気呵成に仕事をするのがギャングと映画を見て分かっている。店員はまだ俺達の大作戦に気付いていない。俺達は空席待ちを装い一旦外に出て作戦会議を開いた。

「セイゴ、お前サッカーやっとってバランスええでくそ汁係な。マコト、お前ちょっと鈍臭いで正当に牛飯持てよ。イナモト、お前箸入れと紅生姜と醤油と七味の備品関係な。俺は漬物とサラダ持ってケツ持ちやるわ。店員がぼって(※ぼって=追って)来たら蹴散らすで…。ほんで俺はマイショップ寄って卵1P買ってくで。店出たらイナモトはダッシュやぞ!セイゴとマコトは堂々とゆっくり急いで歩け。なんせイナモトのブツは強奪品やでな!」
 一気にまくし立てた俺にセイゴが冷静に言った。
「ニシやん湯呑みと灰皿は?」
 ハッ!湯呑みと灰皿があったか…。
「湯呑みは牛飯待っとる間に茶が出るやろ、茶飲んでポケットインや、灰皿はカウンターの裏に積んだるで隙みてちゃばったれ(※ちゃばったれ=パクったれ)最悪灰皿は無しや!」
 4人足しても1人分の脳ミソには程遠い俺達にしては素晴らしい作戦会議が終わった。

 会議の途中数人の客が帰ったようで店内にいくつかの空席が出来た。
「行くかエーチャン!」イナモトが鼻息荒く言った。無理も無い、イナモトは備品強奪係で競馬で言えば先行逃げ切り馬。
「いや少し待とう。満員で店員がバタついとる時がええで。それとイナモト、備品は大人しそうなセイガクかリーマンの席の備品にしろよ。正義君みたいな奴がおったら厄介だでな」
たかが牛丼、いや牛飯買うのに何でこんなドキドキヒヤヒヤするんや。半ば馬鹿馬鹿しくなって来た時数人の大学生が入った、それも弱っちそうな奴等が…。
「今や!セイゴ、お前と俺の演技力が大事やでな、ヘタ打つなよ!」

 この強奪最大の難題は丼と椀、備品を持ち帰る事である。作戦は俺とマコトが今正に喰わんとした瞬間に、セイゴが店に乱入し職員室呼出しの急を告げ牛飯やくそ汁を容器に移し変える時間を無くし、その混乱のさなかイナモトが備品をちゃばるという学園ドラマ張りの作戦であった。

「よし、行くか!」
 俺とマコト、イナモトが店内へ。セイゴは尾行するデカのように外から見張った。運良く厨房から一番離れた席が二つ空いていた。マコトに目配せし席に着いた。イナモトは空席待ちを装い備品と客をチェックしてる。頭の中で映画撮影のカチンコが鳴った!
「アクション!」

 店員が注文をとりに来た。
「ご注文どうぞ」
 30くらいの運動神経マイナス君みたいな奴だった。俺はニヤリとして「大盛り二つとみそ汁二つ」と注文。店員は厨房に向かいオーダーを叫んだ「大盛り二ちょう、みそ汁二杯」その間に熱い茶を飲み湯呑みをポケットへ。次にケースを開け漬物とサラダ各2個をテーブルに乗せた。ここまでは順調だ。イナモトは強奪する備品と客の因果関係を見分けている。1分も経たないうちに牛飯とくそ汁が運ばれた。

 ここで一発演技を入れた。
「なあ、俺達には茶がねーのきゃ?」先程の店員は疑う事なく「すみません」と新しい茶を出した。“ハン、馬鹿め。これで湯呑みは楽勝、後はセイゴとイナモトや”イナモトは獲物を視界に捕らえていた。さあセイゴや。牛飯とくそ汁を前に演技で割り箸を割り、軽く七味を振り今喰おうとした時!!ガッシャーン!硝子戸を物凄い勢いで開けた音が…。
「おいお前等、何暢気に飯喰っとんだて!先公が直ぐ職員室来いって発狂しとるて。何やらかしたんだ!?」セイゴ迫真の演技だった。そしてやらかしたんじゃなく、今からやらかすんだよね!

「なんやて?バレてまったか?いかんがやどつかれてまうな!」
 俺も危機迫る演技。
「はよ行かな殺されるぞ!」俺とマコトは立ち上がり
「おい、持ってくで袋くれ!」と店員に言った。店員はマニュアル通り「じゃあ移し変えますから」と言った。
「ボケか!こっちは先公から的かけられとんやぞ、このまま持ってくでラップしろよ!」
 怒鳴る俺に店長が
「困ります、持ち出しは困ります」と困惑顔。それでも怯まない俺達に「わかりました。明日にでも返して下さい、それならいいです」と白旗を振った。店長自ら牛飯とくそ汁、漬物にラップをした。

 俺達の強奪は苦もなく正当に終わった。問題はイナモトだ。イナモトが居た方を見ると奴の姿が無い。振り向くと奴は既に店外にいた。背中を丸くしながら…。後は会計だ。牛飯、くそ汁、漬物にサラダ各二人前分を払い威風堂々と店を出た。

 しかしここからが大変。リミット15分をクリアしなければ、ゴリラとアナコンダが暴れる。その前に立ちはだかる学校までの急な坂道をどれだけで走り切れるか!

 セイゴはくそ汁がこぼれないよう慎重に競歩。マコトは両手に牛飯をぶら下げ駆け足。イナモトは左手に紅生姜、右手に箸入れ、ポケットに醤油を入れスーパーダッシュ!俺は漬物とサラダをぶら下げマイショップへダッシュ!
「卵買ってくで先行ってくれよ、落とすなよ!割るなよ!こけるなよ!それと喰うなよ!」
「オオーッ!」皆作戦とちょっとしたスリルの成功に満足顔だった。俺もマイショップで卵を買い心臓破りの坂へ。頂上付近に奴らの背中を確認しダッシュした坂道。

 部室に戻ると欠食児童みたいなゴリラとアナコンダが待っていた。牛飯を見たゴリラは胸を叩き雄叫びをあげ、生卵をほお擦りするアナコンダは今にも丸呑みしそうな恍惚の表情だった。少しタイムオーバーしたものの満腹感に浸っている二人からお叱りはなかった。そして…
「よーし、腹も膨れたできゃぁるか!なあ、キョーデェー」
「そうだなキョーデェー、おはようスパンク見なかんでなぁ」
“はぁ?帰る?おはようスパンク?帰るなら途中の店で喰って帰れよ。何がおはようスパンクや頭パンクのくせに…。”

 短縮授業初日、授業より命が短縮された暑い日だった。


<続>



『the head・団長への道』〜一回生の章〜弐十伍

〜一回生の章〜 弐十伍


 突然の統制交代から数日が経ったが、変わったのは横隊で並ぶ順番だけ。統制とは名ばかりで連帯責任の代表みたいなもんや。

 タイチの背中の傷は夏場という時期とあまりにも無数にあるために治りが遅い。練習で汗をかくとまた痛むのだ。
 ある日練習が終わると悪魔二人は、それはそれは残念そうに話し始めた。
「え~諸君、明日からの期末テスト期間だが明日と明後日は部活は休みだ。休みだからといって遊びほうけないでしっかり予習して赤点を取らないように。そしてテスト明けからはバンバン練習や!家で練習しとくように。」ヨシダは昨日家で復唱したような台詞を俺達に投げた。オオツカは腕組みしギロリと睨みを効かせている。
「ほんなら今日は解散」
 珍しくあっさり帰る二人、多分俺達より勉強しなかんのはあの二人やろな。お世辞でもお利口さんじゃなさそうやし…。

 ここで!中京式テストの紹介。
 普通の学校ならペーパーテストは100点満点だが我が中京は80点満点!残りの20点は《平常点》というとても有り難いハンディがあった。この20点は減点方式で、忘れ物や授業態度が悪いと減点されるキンダーガーデン並みのものであった。従って平常点が満点あればペーパーテストで15点取れば赤点は免れる。揚句、答が解らなくても解答欄になんらかそれに近い事が書いてあれば三角(1点)が貰える先生もいた…。アホなはずや。あ、現在は違いますよ。今ではオール4以上無いと入学出来ないようです、名誉のために。

 話しを戻そう。俺は早々に帰宅するのが馬鹿馬鹿しくなりセイゴの地元(御器所・ゴキソ)へ遊びに行く事にした。比較的学校に近い御器所からセイゴはケッタで通っていた。そのケッタに二ケツして鼻唄交じりにタンデム。着いた先はセイゴの家でなく先輩の家。そこにはセイゴの同級生や後輩達がいた。
 いわばたまり場。6畳一間に7~8人、煙草の煙で視界は悪くジュースの缶や菓子袋が散乱し衛生環境最悪の場所。だが当時はこういう場所が憩いの広場、その後しょっちゅう通う事に。尾崎じゃないが盗んだバイクを乗り回したり、近くの高校の女子のテニスコートを覗きに行ったり。そんなはちゃめちゃな連中の中に一人無口でリーゼントを決めた男がいた。セイゴと同じ中学でライバル校の享栄に通うそいつはマルヤマ。後の享栄高校応援団長になる男であった。
 二年後の夏に甲子園を懸けた一戦を共に団長として戦うなど、本人達はもとより周りのヤンキー達も想像しなかっただろう。
 それにしても運命の出会いであった事は間違いない。そして今でもマルヤマとの付き合いは続いている。リーゼントが無理な頭になっちまったが…。結果、休部の3日間は俺は毎日そこにいた。

 そして休部が解禁。3日振りに見たヨシダは少ない脳をフルに使ったのか頬がコケてげっそりし、オオツカは色白が青白になり病人みたいになっていた。“この人達は本当漫画みたいやな”そんな二人は体力を取り戻すべく食に走った。

「おい一年、誰が足早や~んだ?イトウ(白豚)は却下でな」
 誰や?誰や?と話していると、
「統制!お前は行くのは決まり。あとはセイゴ、マコト、イナモトおみゃぁさんらが行け!」結局勝手に人選された。
「よ~し、決まったら牛野家行って来い!」
“はぁ?牛野家?吉野家じゃなく?学食じゃねぇのかよ。それに4人てなんや?たかだか牛丼二つで…”疑問だらけの俺達にまたもや無理難題が!?
「キョーデェ~何食べやぁす?わし大盛で牛野家フルセットだぎゃ!」
 鼻息荒くヨシダが言うとオオツカも
「わしもそれいっとくわ」と…。
“牛野家フルセットって何や?それに吉野家やろ、店の名前すら覚えれんのか?”意味が分からず
「押忍、牛野家フルセットって何でしょうか?」とヨシダに尋ねると、
「ええ質問だぎゃ、さすが統制!あのよー牛野家フルセットちゅうもんわな、牛飯(うしめし)大盛に、くそ汁(味噌汁)に漬物とサラダと卵のフルオーダーだぎゃ!ほんでこっからが重要だでよう聞いとりゃぁせよ。ちゃんと丼と碗で牛飯とくそ汁持って来い。持ち帰り容器は臭っさいでよ。ほんでだな、紅生姜もテーブルにあるやつまるごと、七味も容器ごと、箸も爪楊枝もケースごと、ついでに湯呑みも2個!要はこの部室が牛野家になるっちゅう事や。店員が文句言ったら中京の応援団やと言え。あっこの店長はよう知っとるで。ああ、ほんで金はおみゃぁさんら持ちやでな!へっへっへっ」

 ヨシダは得意満面で笑い、喰い物を想像しただけでコケた頬がふっくらしてきた様に見えた。“何?それは万引き、いや強盗やないか!それをイケシャァシャァとよう言うなあ”困惑顔の俺達に日の丸扇子を振りかざし
「15分で帰って来い、行け~!」
 空腹ゴリラが叫んだ。俺達選ばれた4人は一礼し部室を飛び出そうとした時、今度は空腹アナコンダが叫んだ。
「待て~、待ちやがれ~!」
 その甲高い声にフリーズする。恐る恐る振り向くと獲物を前にトグロを巻き威嚇する大蛇がいた。
「お前達、この時期の牛野家のシステム知っとんきゃ?夏場はな、夏場はな、卵の持ち帰りが出来んのじゃ!卵は坂道の下にあるマイショップでワンパック買って来い!栄養のため卵飲むんじゃ!それとサトル(ヨシダ)は言い忘れとるが牛野家の醤油も持って来るんやぞ!それこそが牛野家スペッシャル・ワンダホー・フルセット、サトちゃんノブちゃんハッピーセットじゃ!分かったら行きさらせや~!」
“アホや銀河系レベルのアホや、情けない…。卵飲む?ほんまもんの蛇やないけ”だがNOとは言えない。
「押忍」と挨拶し部室を飛び出した。

 ダッシュの傍ら仲間の財布事情を確認。なんとか金は都合がつく。それより物品の略奪はどうする?そんな悩みを抱えつつ吉野家、いや奴らの言う牛野家に到着。店内は近所の大学生やリーマンで一杯。
さあこの状態でどうやってミッションを成功させる?口下手なマコトにイケイケのセイゴとイナモト…やっぱ俺か。
 大会目前の超暑い午後、それより熱い牛野家フルセット略奪戦の幕が切って落とされた!!


(応援団と何も関係あらへん、漫画バレーボーイズみたいになってきたわ。・・・筆者談)

<続>



左から筆者、中セイゴ、右タイチ。昨年末の忘年会より。



『the head・団長への道』〜一回生の章〜弐十四

〜一回生の章〜 弐十四

 部室前に並ぶ俺達の耳に入って来たのはオオツカの怒声と竹刀を土間に叩きつける乾いた音。時折タイチやエスパーの「押忍」と言う力無い返事が…。目の前のグランドの網にはカビが入った団旗が無情に靡いていた。

「おみゃぁら、団旗を何だと思っとるんだぁ!団の顔、団の命やぞ~!どたわけが~!!」
 オオツカが万を持してキレた。と同時に竹刀で制裁を加え始めた。
「バシッ、バシッ」
 竹刀で体を打つ音とブロック塀にぶつかる音。
「うぁ~、ああ~、押忍すいませんでした~」
 見事なまでのSMショーである。
 タイチ達の悲痛の声が鉄扉の隙間から聞こえる。20分、30分休む間もなくショウ、もといヤキが続く。俺達は先公の監視と、いつ中に呼ばれるかという緊張と恐怖で震えていた。

「ガラガラ」鉄扉が開いた。中から竹刀を抱えたムラマツとナカシマが出て来た。
「終わったか…」
 ホッとしたのも束の間、息を切らしたオオツカが叫ぶ。
「おいナカシマ、ありったけの竹刀持って来い!足りにゃ練習で使っとる竹刀も取り上げて来い!ムカイ(剣道部主将)がほざいたらついでに呼んで来い!行け~」
 オオツカの目は血走り額には無数の血管が浮いていた。そしてナカシマとムラマツが抱える竹刀を見るとその全てがバキバキに折れていた!それを見た俺達は顔面蒼白、元々色白で白豚イトウなんかは青豚という予想外の珍獣になっていた。

 恐る恐る振り向き部室を覗くとカッター姿のタイチ、エスパー、スズキがふらふらになりながら立っていた。そして皆の背中にはうっすらと血が滲んでいた。しばらくしてナカシマとムラマツが数本の竹刀を持ち帰って来た。その後ろには剣道部主将ムカイの姿が…。そのムカイが、
「おい、サトル(ヨシダ)何をやっとるんだ?全部折れてまっとるし打ち込み中の奴の竹刀も持ってってまうとは。これは問題にさしてもらうぞ!」
 語気をあらげるムカイに、
「まあまあ、そう言やあすなて。コウスケ(剣道部顧問)にはパンダが来てかじってまったって言っとけ」
と吉本新喜劇でも言わないような駄ジャレを真顔で言うヨシダ。
“パンダが来るわけねーし、パンダは竹喰うけど竹刀じゃなく笹竹だし…。この人の脳みそはビッグバンしとるわ”剣道部主将として乗り込んで来たムカイだったが尋常じゃないオオツカの姿と餌食になっている奴等を見て、
「あんま無茶せんといてくれよ、ちょっとやり過ぎやろ…」
 と退散した。再び鉄扉が閉められ制裁が始まった。竹刀の打撃音とうめき声が止んだのは陽が傾きかけたころだった。外で立つ俺達を中に入るよう手招きするヨシダ。オオツカの顔は獲物を丸呑みして腹一杯のアナコンダみたいに満足気だった。

「ええきゃ、おみゃぁんたー。団の物は全て宝物のように扱え!ほんでなぁ今回の事はお前等一年の連帯責任じゃ、頭丸めて来い。それとイケダ、一年統制のお前がだりー(だるい、やる気ない)でこうなるんだて。」
“統制が悪い?あんたがアイウエオ順という一番ポピュラーな決め方で決めといてよう言うわ、あほらしい…次はじゃんけんかアミダか?”とあんぐりしていると、
「エイイチ、おみゃぁさんがやれ。ここしばらく見とったらおみゃぁさんが一番《心技体》が揃っとるみたゃぁだでよ。なぁ、キョーデェー」
 話しを振られたオオツカは未だ興奮覚めやらぬ顔で相槌を打った。“はあ?俺?なんで?それに心技体って何!いくらあんたが太ってるからって横綱審議委員会みたいな事言うなよ…”。突然の、人の意見も入れ札も無しに決められた事態に戸惑う俺。そんな重要な人事も30秒程で片付け、ゴリラとアナコンダは二年生を従えさっさと帰って行った。

 部室に残った一年はタイチやエスパーの背中に付いた無数のミミズ張れの跡を見て無言になってしまった。また脱落者が出そうな雰囲気に「なんかわからんけど統制になってまったみたいや。何をしてええかわからんけど後二ヶ月もしたらアイツラ引退や。それまで頑張ろうや」精一杯の就任挨拶をやった。

 干してあった団旗を片付け帰路に就いた駅までの坂道。タイチやエスパーに肩を貸すイケダやイナモトを後ろから見ていると胸が熱くなってきた。そんな映画のワンシーンみたいな友情の光景に水いや氷水を差すような馬鹿がいた。顔面凶器で声がアニメーシヨンなトヨダだ。
「なあニシオ、いやいや統制。統制といえば一年の団長やろ?このまま行けば末は本物の団長や!そうなったら俺を副団長にしてブイブイいわしたろうぜ!そん時はこのトヨダを是非とも副団長に。へっへっへっ」
 お前は悪党回船問屋か?こういう奴に限ってケツ割るんだよな(実際トヨダは夏休み後、団を退部し進級出来ず退学していったバカちんである)。
 夏の予選を三週間後に控えた夕刻、急遽任された統制という役目、未来への団長への始まりだった。


<続く>



『the head・団長への道』〜一回生の章〜弐十参

〜一回生の章〜弐十参

 名古屋の梅雨は湿気が多く暑苦しい。狭い部室は若い男子が出す異様なフェロモンと煙草の臭いが入り交じる異臭空間。ある放課後、そんな嗅覚がおかしくなりそうな部室を飛び出して悪魔二人組は俺達一年数人を従え学校から二駅隣の御器所(ごきそ)にあるセイゴの行きつけの喫茶店へ出向いた。
 その喫茶店も奴らの行きつけ(喫茶・若草)同様、店の奥に死角となるソファー席があり、これまたその席に侍女をはべらせてコーヒー一杯で延々とチチクリあっていた。そんな光景を常連のオバハン達が白い眼、いや自分もチチクリして欲しい眼で見ていた。

 怠い時間がダラダラ続き太陽が傾きかけた頃、店内に緊張が走った!
 店の正面と裏口から二人のオッサンが入って来て店内を物色し始めた。“どっかで見たオッサンやな?”
 その時だった!ヨシダとオオツカが大慌ててテーブル上の灰皿と煙草を隠した。“チャリ(警察)? いやジャージ着たチャリはおらんな…はっ!先公や!!”
 そのオッサンをよく見るとそれはバスケ部監督のゴリラことアオキだった。もう一人は印象が薄く忘れたが先公だった事には間違いない。
 俺達一年と侍女達はその場で保釈されたが悪魔二人は学校へと連行された。結果、夏の予選目前で二人は無期停学、部活は無期で休部となり応援団存続が危ぶまれる事件となった。
 それから約二週間、俺達は伸び伸びと学校生活をエンジョイした。

 二人の停学と休部が明けて部室に集まった初日。ヨシダとオオツカは停学の罰として丸めた頭を掻きながら
「おみゃぁさんたぁ、今日からは真剣モードで練習だでなぁ!」とヨシダが吠えれば、
「よし、団旗揚げて練習じゃぁぁぁ~」とオオツカが奇声をあげた。
「押忍!」の返事と共に太鼓や扇、団旗を持って校舎屋上へダッシュした。梅雨の晴れ間の下、久々に声を張り上げ準備運動だけで体力が無くなっていく感じがした。
「よ~し、団旗揚げて実戦練習じゃ!団旗揚げたれやぁ~!」ヨシダの声に機敏に動く親衛隊。
 二年生カコの身体に団旗ベルトを取り付けるスズキ。団旗ポールに団旗を付けるタイチとエスパー(ヤマダ)。団ベル(団旗専用ベルト)にポールを差し込みタイチとエスパーは団旗を抱え準備が整った。
「団旗揚げ~」「ドン!」
 二年生ムラマツが打つ太鼓を合図に団旗が揚がった。久々に揚げられた団旗は初夏の風に靡き緊張感が体に走った。
「校歌~、よ~い!」
 ヨシダが今まさに団長エールを振ろうとしたその時!
「待て待て、待ちやがれ~っ!」怒声を上げオオツカが団旗に迫った。風に靡く団旗をわしづかみにし「なななな、なんじゃこりゃぁ~!」とジーパン刑事のように叫んだ!
「おお、大変じゃ大変じゃ!どエライ事しでかしたなぁ、おみゃぁら~!」
 狂気しながらタイチに跳び蹴りを入れた。続いてエスパーには鉄拳、スズキには回し蹴りをかまし三人はその場に芸人のように勢いよく倒れ込んだ。事態を把握出来ないヨシダは、
「キョーデェー(義兄弟)どうしやあたぁ~!」と巨体なのに欽ちゃん走りで団旗に駆け寄った。
「見やぁせキョーデェー!」
 オオツカが広げた団旗を見てヨシダの眼がぐるぐる回った。
「なんじゃこりゃ、てみゃぁら前の試合の後団旗干してにゃぁんきゃ!練習中止、部室集合じゃ!」

 道具を片付け螺旋階段を走る俺達は「どうした?」「何があった?」と訳が分からず部室へ向かった。時折見えたオオツカは顔面蒼白で怒りのあまり震えていた。部室に戻り全員が中に入った。走った後なのでいつにも増して異臭が漂う。

 二年生が団旗を広げた。えんじ色に白抜きで[中京高]の団旗はいつもと変わらない様に見えた。暫くの沈黙の後、
「おみゃぁら、やってくれたな。団の顔に…カビ、カビが生えとるだにゃぁかぁ~!OBになんと説明するんじゃ、死ね!死んで償え~!」
 オオツカは狂ったように言い放った!団旗をよく見ると旗全体にカビが増殖していた。いくら後輩の手入れのせいとはいえ団旗の保管整備は現親衛隊々長 であるオオツカの全責任になるから穏やかではない。
「一年の統制と親衛隊以外は外へ出ろ、二年、お前らは剣道部に行って道場にある竹刀を全部持って来い!行け~!」オオツカの雄叫びに続き、
「他の一年、いつにも増して先公見張っとれ!ええきゃ!」とヨシダはゴリラのように胸を叩いた。

 部室前に並ぶ俺達の眼に入ったのは竹刀を抱き抱えた二年生。その数は40本はあっただろう。これから部室内で起こる事は察知できた。今まで幾度と入れられたヤキより壮絶になる事も肌で感じた。
 青空が消え夕立でもきそうな暗雲立ち込める夕暮れだった。




2009/10/05

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