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ここまでの登場人物。
かおり
お好み屋の看板娘であり中学の先輩で俺たちのマドンナ的存在当時21歳。この事件の2年後結婚、その後の消息はわからない。
アオキ
3つ上の先輩で当時鉄馬(単車)を乗らせれば天下一品だった伊達男。その後は物語り後半で。
モリ
2つ上の先輩で絶大な力を持つアオキの腹心。俺の元カノの兄でもある。今でも地元に居るとか。
ノリカズ
親友ユウジの兄。アオキやモリその他の不良、俺たちに多大な影響(単車、4つ輪、音楽)を与えた伝説の不良。
マサシ
かおりの同級生。先輩であったが年が離れすぎていたため詳細はわからない。顔面凶器。
ユウジ
俺の転校後(小5)最初に仲良くなったヤツ。ノリカズの弟で不良発信基地。現在父の家業をノリカズ、コウゾウ(弟)の3人で継ぐ。
ヨウスケ
同級生でちょっとおっちょこちょいなヤンキー。高校進学後も多々揉め事を起こし、その都度助け舟を出し俺たちを困らせた。
ケイゾウ
同級生。見た目は温厚だが喧嘩は強い。7人兄弟の次男坊。ある時相手に大怪我を負わせて以来不良から遠ざかる。
ヨシモト
1つ上の先輩。モリの腹心で義理事や上下関係にうるさい。後輩の面倒見はいい。現鉄工所経営。
そして、
俺(エイイチ)
この事件後中京高校に入学。何故か応援団に入り団長として甲子園も経験。卒業後料理人を目指したが飲食業界が水に合わず鳶職に転職。現在に至る。
第3章からの登場人物。
ヨシカワ
アオキとコンビを組んでいたド不良。2年後弟のマサルと車に同乗中に事故死。
タキグチ
1つ上のパチンコ屋の息子。自分の名声や損得勘定で人を嵌めるカッコばかりのキザ男、いけ好かない先輩。地元から消える。
タケシ
同級生でお人好しの在日韓国人。5つ上の兄が当時の朝鮮高校の総番長。
ハルヒコ、ミチオ、カズヤ
同級生。超悪仲間。
サトミ、マリ、トン子、ヒトミ
同級生のヤンキー女連。ヒトミは当時の俺の彼女でモリの妹。
尚、登場人物の名称はすべて仮名です。(俺を除く)
第3章「葛藤」
家に戻った俺は何をするでもなくボーっとレコードを聴いていた。ただ腑に落ちない点は先輩のタキグチがエライ剣幕で怒鳴り散らしていたことだった。「アイツが絡むとロクな事がないなぁ〜」とぶつくさ言いながら、、、。
しばらくすると電話が鳴った。「ピーッピーッピ」
部屋にあるインターホン(技術の授業で作った物)が鳴る。
「あんたぁ、ユウジ君から電話や、切り替えるからな」
母親がそう言って親子電話を切り替えた。
「もしもしエイイチか、兄貴にアオさんの事と今日の夜の集合の事話したらよー、『行かんでもええわ』って言うんだけどよー、どしたらええきゃ?」
「うう〜ん。ノリ君が言っとんならええんだないきゃ。それとタキグチが絡んどるで嫌な予感がするんだわな」
、、、、、、、、「そうやユウジ、この前借りたカセットがあるで取りに来いや」「ほうだな、暇だで行くわ」。
ガキ同士の長電話より顔見て話す方が早い。
電話を切ると10分ほどでユウジが家に来た。時刻は6時になろうとしていた。
「こんちは、おじゃまします」
「あれ、ユウジ君久しぶりやなぁ。公立受けるんやろ、がんばりや」とリビングから母親の声。
「まあええて母ちゃん、ユウジ早よ入れ」。話に加わろうとする母親を振り払いユウジを俺の部屋へ強制連行。
「おっ、アナーキーか。銀蝿よりええなぁ」「そやろう、銀蝿はウソッぽいでかん。カッコばっかやろ」「ほんでもおみゃあさん、銀パン(横浜銀蝿の白いドカンズボン)持っとるがや」「あれはファッションだて。アナ−キーの国鉄職員の制服は無理やろ」。
どこでもある会話で盛り上がる俺たち。そして本題突入。
「ところでどうするんやエイイチ、おみゃあ行くのか?」
「とりあえず行くわ、あとでタキグチが何言ってこすか解らんでなぁ」
「そうやなぁ、あいつ何かと根に持つタイプやで」
「ユウジはええがや、ノリ君が行かんでもええって言っとるんだで。タキグチや他の先輩も文句言わせんだろう、ノリ君が言っとるんだで」
アナーキー&銀蝿のときとはコロッと変わりしかめっ面の俺たち。
「そや、ケイゾウに電話してみるか」そう言ってリビングに電話を切り替えに、、、。すると親父が「何をコソコソしとんねん、ここでかけたらええやないけ」。
逆らうとどんなヤンキーよりも怖い親父の言葉は法律よりも厳守である。俺は仕方なくリビングからケイゾウに電話をする。
「もしもしヤマグチさんですか?・・・なんやケイゾウか。おまえさん夜どうすんや?・・・解った、ほな後でな」
電話を切り部屋へ戻ろうとする俺にまたしても親父のドスのような誘導尋問。
「何を悪さしよ思とんのや、どこ行くねん?」
「別に、ツレとゲーセン行くだけやんけ」
親父の顔をまともに見れない俺(バレたか?)
「さよか」。鬼の顔が疑いで余計に怖くなる。親父にビビってる暇はない。部屋にいるユウジに電話の内容を話し、またもやどうするこうすると思案する。
時刻は6時半、刻々と迫る集合時間。
「ぼちぼち行こかな、ユウジおまえさんどうするんや?」
いまだ迷っているユウジも渋々「とりあえず行こかな」。
2人が部屋を出て出掛けようとした時リビングから文字では優しそうだが実際はドスの利いた声がした。
「カワダ君(ユウジの苗字)、まだ入試があんのやろ?アホな事には首突っ込んだらあかんで!」。
頭を掻き決まりがバツが悪そうなユウジ。そして俺には
「エイイチ、何をするのか知らんけど中途半端な事なら端からすなよ、それと友達巻き込むな、ええか!それが出来んのなら家に居れや」
何かを察するような鋭い言葉が背中を突き刺した。
「なんもないヨ、ちょっと出掛けるだけや」。なんで“ヨ”なん?それだけでバレバレやろと苦い思いをしながら慌てて玄関を出た。
辺りはすでに薄暗くなっていた。
ケッタをこぎゲーセンを目指す2人の背後から大きな声が、、、。
「お〜い、エイイチ、ユウジ〜」。振り向くとケイゾウが原付に乗って手を振っている。
ビ〜ン、ビビビ。「どしたんやケイゾウ原チャリなんか乗って」。
パッソーラにまたがり得意満面のケイゾウ。
「姉貴のがあったで勝手に乗ってきたった。これで行こまいか」。
思わずユウジと顔を見合わせニッコリ。ケッタを近くのおもちゃ屋の前に置き、原チャリ3ケツにていざゲーセンへ。
途中買い物帰りのおばはんや信号待ちの車の運転手がしかめっ面で俺たちを見る。そんな視線が俺たちを余計に熱くさせる。
オリャー、ドワゥオーッ! アフリカの原住民のような大声で何かを叫びながら、そしてどこかに青春の清々しさを感じながら3ケツ暴走族は風を切った、、、。
間もなくしてゲーセン前に着くと、さっき病院前で見た4輪が2台と単車が数台停まっていた。
「なんだぁ、さっきのパンチとかアフロがおるんか?」とユウジに言うと「パンチ?アフロ?なんやそれ」とケイゾウ。数時間前の病院前の出来事を説明すると「なんか嫌な感じやなぁ、あっ!あれタキグチの単車やないのか」ピッカピカの単車を指差しケイゾウが言った。
ゲーセン前でだべっていると、ボーッ、ボンボー、ブォン、ブォンと直管マフラーの凄まじい爆音が、、、。ヨシモト先輩だった。
「よぉ〜、お前等も来たんか?べつにええんだぞ」「いや、タキグチ先輩に来いって言われましたから・・・・」「そっか、でもなちょっと厄介な事やぞ。お前等高校行くんやろ・・・」と意味深な言葉がヨシモト先輩の口から。
顔を見合わせる3人。そんな3人に「とりあえず話だけでも聞いて帰るか」と先輩に背中を押されゲーセンの中へ。
暗い店内に誰が居るか解らずキョロキョロしていると「遅いぞ!おみゃぁら!」とタキグチの怒鳴り声が、、、。
「スンマセン」とペコリ。
「何を苛こいとんだタキグチ、おまえ何を仕切っとんだたわけ!」と後から入ってきたヨシモトが言った。
「おっおお、ヨシやんか」
喧嘩や統率力でかなわない同期のヨシモトに一瞬怯むタキグチ。
そんななか「まあええやないか、身内で揉めるなや」とさっきのパンチが割って入った。店内の暗さに目が慣れ辺りを見渡すと、ハルヒコ、ミチオ、カズヤ、ヨウスケの同級生に2つ上のモリ君の同級生が数人、それとアオさんやかおりさんの同期の連中と狭いゲーセンの中に20人程の不良がいた。
そして店の隅には何故か隣の中学の不良までが4、5人立っていた。
しばらくするとマサシ(パンチ男)が話し始めた。
「ええかおまえ等よう聞けよ。アオキがやられた事は知っとんな。その相手を調べたら港のヤツ等らしいわ、ほんでなぁ、そいつらは、愛国○○会のイケイケ集団(十○夜隊)や!やられたらやりかえす!ええな!○翼やからってびびるなよ!きっちり仕返ししてわし等の地元がイチバン強いの見せたれ!ええな!」
アオさんをやったヤツ等が判明した。しかしそれは名古屋南地区(港、南、熱田、中川)で名を轟かせる、○翼二次団体・十○夜隊だった。
まだ中学生、15歳の俺たちにはとてつもない相手であり恐怖感さえ覚えた。そして当事者のアオさんやモリ、ヨシモトを差し置いてマサシに肩を叩かれたタキグチがしゃべり始めた。
「先輩方が言われたように、やられたらやりかえす!そのやり方やけどなぁ、まずあいつ等の行動、車や事務所を潰す。その後タイマンや集団での喧嘩に持ち込む。他の学区や友好のあるチームにも声は掛けた。けどなぁ俺たち地元が集まらな恥ずかしい。今日ここに居る者はもちろんの事、ツレや仲間に声を掛けてもっと人を集めてくれ」
マサシに吹かれたのか普段より威張り散らすタキグチ。
そしてマサシがさらに俺たちを引き締めるために口を開く。
「やるのは明後日の夜。電車道(昔市電が走っていた通り)のボーリング場跡に10時に集合や!わかったな!」
横にいるタキグチやマサシの同級生は拍手までしていた。当のアオさんやモリは困惑顔、、、そして俺たちも、、、。
ゲーセンを出た俺たちに「おい、こっち来い」とアオさんが、、、。
ゲーセン裏の空き地に呼ばれた俺たちに「ええかおまえ等、こんな事になるとは俺もモリも知らなんだ。来たらあかんぞ、高校も就職もパーになってまう。マサシ君やタキグチがああやって言っとるけど俺が言っとくで絶対来たらあかんでな!」
後ろに立つモリ君も頷いていた。
「さあ、早帰れ。ユウジ、ノリカズ先輩に申し訳ないって言っといてくれや」。
アオさんやモリ君はまだ中学生の俺たちを巻き込みたくないと説明してくれた。
俺とユウジ、ケイゾウが原チャリで帰ろうとしていると、タキグチに呼びつけられていたヨウスケがゲーセンから出てきて俺たちに近寄ってきた。
「何を言われとったんや」ケイゾウが言った。
するとヨウスケからとんでもない言葉が、、、。
「もし、もし明後日来んかったら全員ヤキ入れるらしい。ほんで『地元に居れんようにしたる、関係ないヤツや親には絶対内緒やぞ』って言っとった」
「タキグチがか?」
ヨウスケを睨みつけ俺が詰め寄ると
「そそ、そうやてタキグチ君もマサシさんもや」。
アオさんやモリ君の言葉にホッとしていたのも束の間、またまた俺たちは窮地に。
「とりあえず帰ろまい」ケイゾウがポツリと言った。
3ケツ原チャリの帰り道には言葉も笑いも雄叫びもなかった。
部屋に戻りベッドで仰向けになり、行くか?行かんか?と悩む俺。
暫くしてユウジから電話が、、、。兄貴(ノリカズ)にも話せずどうしたらいいか悩んでいると言う。そんな葛藤が続きなかなか寝つけない。
気がつけば朝。何か情報や動きがあったらと久しぶりに学校へ向かう俺。
学校に着くと昨日いたユウジを除いた連中が階段下の踊り場でなにやら話していた。ここでも行くか?行かないか?の相談である。
授業も受けずほぼ丸1日悩んでいた俺たちに、翌日の集合が刻一刻と迫っていた。
(続)
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